「対面キッチンだけは譲れない」→マイホーム完成後に後悔…。あこがれの「おしゃれなキッチン」の“現実”
「家は3回建てないと理想の家にならない」といわれますが、人生で一番大きな買い物をそう何度もできるわけではありません。本当に快適に過ごせる家を建てる秘訣は、「後悔」を知ることです。YouTube不動産 印南和行氏の著書『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、失敗しない「オプション」の選び方を紹介します。
不覚…。おしゃれさにこだわった結果、キッチンが不便に
ドラマや映画で見るキッチンはとてもおしゃれなことが多く、とくにアイランドキッチンには見とれてしまいます。「家を建てるときはこんなキッチンにしたい!」と思っている人は多いのではないでしょうか? そのようなあこがれだけでキッチンを選んでしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあるのです。
対面キッチンは動きにくくなる可能性も
図面で見ていたときには、広々とした使い勝手のよいLDKになると思っていたのに、完成してみたら「キッチンがこんなにせまいと思わなかった!」と後悔するご家庭もあります。 「対面キッチン」にこだわりつつ、リビングスペースをできる限り広くとろうとすると、キッチンの通路は最低限でいいだろうと考えてしまいます。とくに16帖程度のLDKでは気をつけてください。 図表1は、ご夫婦とお子さん2人の4人家族のご家庭で後悔することになった間取りの例です。寸法を入れるとよくわかります。 調理のための通路は、1人で立つことを想定すると、80~90cmでいいとされています。図表1のように対面キッチンを設置すると、背面に食器棚やカップボードを設置できないので、食器の出し入れをするたびにダイニングへ行くことになりますね。その途中に65cm×65cmの冷蔵庫があると、通路がとてもせまくなってしまうのです。 ■どうしても対面キッチンにしたいなら「L型」という選択肢も 設計士さんは、「壁づけ型のほうがよいのでは?」とアドバイスしてくれたようですが、対面キッチンだけは譲れなかったとのこと。 対面キッチンは子どもたちの様子を見たり、家族と会話したりしながら調理ができるという利点はあります。朝は家族みんながキッチンとダイニングを行き交いながら慌ただしく動くこともあるでしょう。そのようなときに、冷蔵庫まわりがせまくて人がすれ違えないことが大変不便だと感じるかもしれません。 壁づけ型であれば冷蔵庫とキッチンが一直線に並び、のちに大きな冷蔵庫に買い替えたくなったとしてもスペースにゆとりがあります。どうしても対面キッチンにしたいのなら、L型にするという選択肢を加えてみるとよいでしょう。 このご家庭の場合も、図表2のようにコンロは壁づけにしてシンクがリビングに向かうような配置にすれば、冷蔵庫まわりがせまくならずに済んだはずです。 マイホームは長く暮らすところなので、家族のライフスタイルの変化に対応できる間取りにすることが大切です。先々のことまでシミュレーションしてみてください。