【名古屋流ホルモン焼き肉・とんちゃん】 豚+味噌の最強タッグが生まれた理由とは? ~大竹敏之のシン・名古屋めし
ホルモン焼きは全国にあるが豆味噌仕立てはこの地域だけ
「名古屋めし」と聞いてすぐさま「とんちゃん」を思い浮かべる人はかなりの名古屋めしツウ。これが名古屋独特だと認識している人自体、少ないんじゃないでしょうか。事実、番組の調査「東海3県の100人に聞いた!好きな"名古屋めし"ランキング」でも、とんちゃんは15位以内に入っていません。 味噌カツは豆味噌文化圏が生んだ洋食の最高傑作!~大竹敏之の「シン・名古屋めし」 とんちゃんとは、内臓=ホルモン焼きの一種。名古屋では牛ではなく豚を使い、豆味噌ベースのタレをからめるのが大きな特徴です。ホルモン焼き肉自体は全国各地で食べられますが、味噌仕立てにすることでこの地方独自の味わいを生み出しているのです。
豚の選択が味噌仕立てにつながった!
なぜ名古屋では、他の地域のホルモン焼きとは違って味噌仕立てなのか? 名古屋の食文化といえば味噌、なのでまったく違和感はないようにも感じます。しかし、単に味噌好きだから味噌味にした、というだけではありません。ここで着目すべきは名古屋では豚ホルモンを使うという点です。豚ホルモンは牛ホルモンと比べて臭みがあるため、これを消すために味噌が使われるようになったのではないかと考えられます。そして、豚ホルモンに味噌をもみ込んでみたら、ことのほか相性がよかったため、この仕込み方が主流になったのではないでしょうか? 味噌と豚肉の相性のよさといえば、東北地方のソウルフード・芋煮でも同様の傾向が見て取れます。芋煮は「牛肉+醤油」「豚肉+味噌」と地域によって肉と味つけの組み合わせが二分されます。醤油味なのか味噌味なのか、それは調味料の好みではなく、肉の選択によって決まるのです。
関西は牛、関東は豚、愛知はどっちも
一般的に関西は牛肉、関東は豚肉と、東西で好きな肉の種類が分かれますが、愛知県はちょうどその端境。牛肉も豚肉もバランスよく食べ分けます。しかし、とんちゃんは戦後の食糧事情がよくない時期に広まったため、少しでも値段が安い豚が好んで使われ、その結果として豆味噌との最強タッグが生まれたのではないでしょうか? そんな風に考えると、とんちゃんにも、地域の伝統的な調味料はもちろん、名古屋の庶民の知恵や金銭感覚が反映していることがうかがえます。リーズナブルかつ名古屋人の口にぴったり合う。味が濃くてビールにも白飯にも合う。主に食べられるのがホルモン焼き専門店のため、食堂や喫茶店や家庭で食べられる他の名古屋めしと比べてちょっとマニアックな一品ですが、名古屋人に愛される要素がたくさんあるまごうことなき名古屋めしなのです。 ※記事内容は配信時点の情報になります。 #名古屋めしデララバ
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