【阪神】岡田監督「こんな仕事しとったら先発で使うよ」伏兵島田海吏の一打から一挙3点3位浮上
<広島0-3阪神>◇2日◇マツダスタジアム 阪神が土壇場で首位カープを寄り切った。0-0で迎えた延長10回1死一塁。島田海吏外野手(28)が右前打を放つと、敵失も絡んで待望の1点をつかみ取った。岡田彰布監督(66)は、阪神の監督通算勝利数が513勝。藤本定義監督が持つ球団記録の514勝まで、1勝となった。これで再びの貯金生活。3位浮上で広島とも3ゲーム差に縮まった。連敗も「2」でストップだ。 【写真】岡田監督も手放しで称賛、島田の「大きな仕事」 ◇ ◇ ◇ 男たちのシャウトがこだまする。試合後のベンチ裏は熱狂に包まれていた。延長10回をしのぎ、ゲームセット。アドレナリンあふれるナインが感情を爆発させた。「うおおお!」「しゃあー!」。野手も投手も、同じように声を響かせた。 岡田監督は一瞬の勝機を逃さなかった。延長10回1死一塁。打者島田、走者小幡にエンドランのサインを送った。島田が一、二塁間を鋭く破る右前打で応える。小幡は二塁ベースを蹴って三塁へ激走。ここで広島右翼野間の送球が高く浮く。三塁手小園がジャンプしても捕れない。さらにファウルゾーンでカバーに入った投手島内も捕れない。そのままボールはカメラマン席へ。まさかの相手悪送球で待望の1点が入った。 これが熟練のタクトだ。一挙3得点。「島田がうまいことなあ。残しておいてよかったなあ」。岡田監督は途中出場の伏兵をたたえた。勝負のエンドランは「いやいや、そらヒットが続けへんねから」。自ら流れを持ってくるしかなかった。島田は「エンドランだったので、真っすぐに負けないように、というところはイメージしていた」。9回には菊池の飛球をダイビングキャッチ。攻守で躍動し「こんな仕事しとったら先発で使うよ」と指揮官は3日広島戦のスタメン起用も示唆した。 岡田監督にとって、これが阪神監督通算513勝。藤本定義監督が持つ球団記録の514勝まで、1勝となった。3日にも、虎の監督史に残る記録に到達する。6月最後の試合はヤクルトに8回の4点差をひっくり返され、逆転負け。7月最初のゲーム。週頭の火曜日をとり「そら大きいのは大きいよ。変な負け方した後の週はじめやから」と力を込めた。この日は6回の守りで球審に抗議する場面も。勝利への執念は誰よりも持っている。 借金の危機をまたも耐え、これで再びの貯金生活。2連敗で止め、首位広島とも3ゲーム差に縮まった。午後に降った雨は、試合前にはやんでいた。高い湿度の敵地で、大粒の汗をかいた熱戦から波に乗る。【中野椋】