ドラマ「セクシー田中さん」、キャラの学歴変更は「必要な改変」? 報告書の「改変事例」一部にとどまるも...追加資料は公表予定なし
短大ではリアリティに欠ける...専門学校への進学に変更する案提出
その改変の一例として、報告書では次のようなエピソードを挙げている。 登場人物の一人・朱里は、原作では短大に進学したという設定だ。しかし、ドラマ制作側は「短大に進学するよりも専門学校に進学する方が近時の 10 代、20 代としてはリアリティがあるのではないか」、「(短大進学の原因となっている)父親のリストラはドラマとしては重すぎるのではないか」として、「高校受験の際に、父親が勤める会社が不景気になり、母親から『高校は公立でいいんじゃない?』と言われて本当は友達と一緒に制服がかわいい私立校に行きたかったけど、『うん、そうだね』と笑って受け入れた」とする設定に変更する案を提出した。 これに芦原さんは小学館を通じて「かわいい制服の私立高校に行けなくなったことなどは『心底どうでもいい』ことである、原作のジェンダー要素も逃げずに書いて欲しい、制作サイドは短大での設定を避けているのか?といった趣旨」の返事をしたという。 ほかにも、「1 話プロットについて、朱里のキャラクターについて(ただの可愛くて軽い女に見えないようにしてほしい)」「4 話プロットについて、エピソードの順序を変えるならキャラブレしないように、もしくは出来る限り原作通り、丁寧に順番を辿っていって頂けたら」「ツッコミどころの多い辻褄の合わない改変がされるくらいなら、しっかり、原作通りの物を作って欲しい旨のメール」といった芦原さんの指摘も紹介されている。 なお、ドラマ制作側はこれに、「やむを得ない場合以外はできるだけ」といった表現が多かったことなどから、提案した改変は許されると認識していたという。 この報告書が公開されると、SNSでは「例にあげられているテレビドラマ制作側の原作から変更されたプロット案がひどすぎる」「あの世界観の原作からこれに変更しようとするとかびっくり」といった声が寄せられた。
キャラの学歴変更は「ドラマ全体を書き換えていることと変わらない」
また、映像制作会社の代表で演出家・脚本家・文筆家の桜風涼さんも24年6月2日に公開したYouTube動画で、キャラクターの学歴を変えることは「ドラマ全体を書き換えていることと変わらない」と言及。「短大卒という人の人生と専門学校に行って何かを学ぶ人の人生って実は全然違うし、悩むところも全然違うんですよ」といい、視聴者に短大卒が少ないから変更することは「安易」だと指摘した。 また、芦原さんからの修正意見は比較的具体的に書かれているにもかかわらず、ドラマ制作側が作成した元々のプロットの内容は朱里の学歴変更のエピソード以外ほとんど明かされていないことにも言及した。原作の改変について、「これは脚本家が書いている方が正しくて原作者のわがままだろうな、というものもあるんです。逆に、脚本家がくそださで、そりゃあ原作怒るよね、というのもあるんです」と説明。本来は、両方を見ないとどちらが正しいことを言っているのか判断できないにもかかわらず、報告書では随所に芦原さんを「難しい人(こだわりの強い人)」と表現するなど、「日テレ側が合議した内容は正しいよねということを前提に話が進んでいる」と感じたと話した。 日本テレビは今回公開した報告書以外に、プロットや脚本といった資料を公開する予定はあるのか。日本テレビ広報部は、J-CASTニュースの取材に「今回のドラマ『セクシー田中さん』の調査報告については公表しているものが全てです」と回答した。 「様々なご意見につきましては真摯に受け止めさせていただきます」という。
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