伝統の「ふな市」郷土の味買い求め 二十日正月の「ふなんこぐい」に
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300年以上続く鹿島市の冬の風物詩「ふな市」が19日、肥前浜宿酒蔵通りであった。夜明け前から露店が立ち、佐賀県内外から訪れた人たちが水槽に入った寒ブナを次々と買い求めていた。フナは昆布で巻き一昼夜煮た郷土料理「ふなんこぐい」にして、二十日正月に恵比寿様と大黒様に供える。 有明海沿岸の鹿島地方では、高価だったタイの代わりに形が似たフナをダイコンなどと煮て、商売繁盛を願う風習が残っている。近年は作る家庭が減っており、20年以上前は10店以上あったフナ業者の出店は、今年も昨年に続いて1軒だけだった。 袋いっぱいのフナを抱えた福岡県筑後市の本村勝美さん(77)は「フナは子どもの頃にクリークで捕まえて、よく食べた懐かしい味。毎年ふな市を楽しみにしている」と話した。 会場では、ふなんこぐいの販売と振る舞いも行われた。住民らでつくる実行委員会の中島丈夫委員長(77)は「ふなんこぐいを作る家庭が減ったのはさみしいが、郷土の味を守っていくために、これからもふな市を続けていきたい」と力を込めた。(山口源貴)
山口源貴