氷雪経済の活性化策で産業規模1兆元超えへ
【東方新報】気温が下がり始め、氷雪経済が盛り上がりを見せている。最近、中国では氷雪経済の発展を支援するためにさまざまな政策が打ち出されている。 例えば、10月25日に開かれた国務院常務会議では、氷雪スポーツを通じて氷雪経済の活性化を目指す取り組みが議論された。この会議では、氷雪経済の全体的な産業チェーンを強化し、地域ごとの特色を活かした氷雪観光を発展させること、また、氷雪装備の研究開発やブランド作りを進め、製品の品質や付加価値を高めることが提案された。 9月29日には、中国気象局が「新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)アルタイ地区の氷雪経済の発展を支援するための試行プラン」を承認し、この地域で氷雪経済の発展を支援する取り組みが本格的に始まった。新疆では、地州単位で進められる初の全国的な試みとなっている。 中央財経大学(Central University of Finance and Economics)の副教授、劉春生(Liu Chunsheng)氏は、「これらの新しい政策は、中国が氷雪経済に力を入れていることを示しており、氷雪産業の資源の使い方を改善し、投資を促し、産業チェーンをより効率的にする効果がある。また、地域間の協力や連携が進み、高品質な製品やサービスが生まれることで、市場の需要が刺激され、氷雪経済が新たな成長分野として発展する」と語っている。 文化・観光、スポーツイベントなどの市場が盛り上がり、氷雪経済も内容がますます豊かになってきている。専門家によると、中国の氷雪産業は、文化観光との結びつきが深まり、技術革新が進み、市場規模も拡大しているのが特徴だという。 「文化観光との結びつきが深まることで、氷雪経済の産業チェーンが拡大し、成長の場が広がっている。各地では自分たちの強みを活かし、地域の特色を取り入れた氷雪観光プロジェクトを進めている。例えば、ハルビン市(Harbin)のハルビン氷雪大世界(Harbin Ice and Snow World)や張家口市(Zhangjiakou)の太舞スキーリゾート(Thaiwoo Ski Resort)などがあり、これらのプロジェクトは文化的な魅力を加え、国内外から多くの観光客を引き寄せ、氷雪経済の成長を後押ししている」と劉春生氏は述べている。 10月11日に発表された「中国氷雪産業発展研究報告(2024)」によると、中国の氷雪産業の規模は2015年の2700億元(約5兆8211億円)から2023年の8900億元(約19兆1882億円)に成長しており、2024年には9700億元(約20兆9130億円)、2025年には1兆53億元(約21兆6740億円)に達すると予測されている。 中国商業経済学会の副会長、宋向清(Song Xiangqing)氏は「氷雪プロジェクトを全国で広め、より多くの人びとが参加できるようにするために、さらなる氷雪施設や設備の整備が必要です。また、VRやARなどの技術を使って、地域や季節に関係なく楽しめるようにすることも重要です。さらに、氷雪プロジェクトの楽しさや健康面でのメリットを広く宣伝し、専門人材を育成することも大切です。また、産業の成長を支援するために、専用の財政予算や税制優遇措置を導入して、企業が投資しやすい環境を整える必要があります」と述べている。 長年の取り組みにより、中国の氷雪経済はすでにしっかりした基盤を築いている。報告によると、現在、中国国内の氷雪関連企業は約3万社にのぼる。 宋向清氏は「企業の中で優れたリーダー企業を育てるためには、国家と地方の両レベルでの全体的な産業計画を早急に作り、企業が氷雪経済に関心を持ち、投資や成長の計画をサポートすることが必要です」と述べている。 北京改革発展研究会の特約研究員、田恵敏(Tian Huimin)氏は「氷雪経済をさらに活性化させるには、この分野でリーダーとなる企業を育てることが大切です。関連機関は、実力のある企業を対象に、他の企業の模範となる大規模な氷雪プロジェクトを進めるべきです。こうしたプロジェクトが中小企業にも発展の波及効果をもたらします。また、中小企業が資金を調達しやすくするための手段を増やし、金融機関が氷雪プロジェクトに資金を提供できるよう促すことも重要です」と提案している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。