航空石川、3大会連続初戦突破 全国高校ラグビー、鹿児島実に73―8
●地震1年の「元日に勝つ」 第104回全国高校ラグビー大会は27日、東大阪市の花園ラグビー場で開幕し、20大会連続20度目出場の航空石川は11トライの猛攻で鹿児島実を73―8で下して3大会連続で初戦を突破した。30日の2回戦は国学院久我山(東京第2)と対戦。勝てば能登半島地震1年となる1月1日に8強を懸けた3回戦に臨むこととなり、航空フィフティーンは「元日に勝つ」を合言葉にラグビーの聖地から被災地へ元気を届ける。 【写真】【日本航空石川―鹿児島実】前半、突進する日本航空石川の選手=東大阪市の花園ラグビー場 2大会連続23度目出場の花園常連校、鹿児島実とは初の対戦となった。 航空石川は開始早々から密集戦で優位に立ち、着実に得点を重ねた。前半2分にトンガからの留学生CTBマプァエ・ウィリアム(1年)が先制トライを決め、計5トライの35―3で折り返した。後半は19分に1トライを奪われたが、前半を上回る6トライを加えて快勝した。 ●被災者に成長見せる 白山市出身の上野 航空石川は輪島市の校舎が被災し、白山市出身のCTB上野魁心主将は「この1年間、自分たちのためだけでなく、被災した人のためにも成長した姿を見せることをキーワードにしてきた」と苦難の続く地元への思いを口にした。 ウオーミングアップ前に上野は仲間に声をかけ「被災地のためにという思いを再認識させた」という。チームは1年間取り組んできた「前に出る守備」を体現。開始2分で先制トライを奪い、体を張った堅守で相手を封じ、計11トライの猛攻で勝利をつかんだ。 震災後は輪島市を離れ、岐阜県にある中部大の施設や山梨県の系列校などで練習した。4月からは東京都青梅市に移転。部室はなく、雑草の生えたグラウンドでのスタートだったが、関東で例年より多くの強豪校と練習試合を重ねて力をつけてきた。 前回大会は2回戦で敗退し、2日後の今年1月1日に地震が発生した。今大会も30日にシード校の国学院久我山との2回戦があり、勝てば元日の3回戦に進む。上野は「1月1日を花園で迎えようとみんなで共有できている」と意気込み十分だった。 紙谷直樹監督は「ここで楽しくラグビーをしている姿をみんなに見てもらうことが恩返しになる」と感慨深そうに話した。