「赤字だから今期は無報酬で働く」と社長が言っています。それって“あり”ですか?
頻繁に変更できない役員報酬……相場や先を見越して決定することが大切!
役員報酬は、基本的に設立年度は設立から3ヶ月以内、2期目からは事業年度開始から3ヶ月以内に決定します。つまり、頻繁には変更できない仕組みになっています。 役員報酬を決定する際は、企業規模ごとの相場や先を見越しつつ、慎重に決定する必要があるでしょう。人事院の「民間企業における役員報酬(給与)調査」によると、2022年度の企業規模別・役名別年間報酬の平均は表1の通りです。 表1
※人事院「民間企業における役員報酬(給与)調査」を基に筆者作成
赤字で社長が無報酬で働くことは可能! ただし注意点もあり
社長の収入は役員報酬で、労働の対価ではないため、ゼロにしたり少なくしたりすることは可能です。赤字決済の際に会社の資金を増やしたり、株主へ誠意を見せたりできるメリットが考えられます。 しかし、無報酬になると社長は社会保険の資格を喪失することになり、国民健康保険や国民年金の加入手続きをしなければならなくなります。また役員報酬がないことで、金融機関からの融資が受けられなくなったり、取引先からの信用を得られなかったりするリスクも考えられます。 社長の役員報酬は頻繁に変更できるものではないため、社長が「赤字だから今期は無報酬で働く」と言っている場合は、経営を立て直すために慎重な決定が行われたのでしょう。 出典 人事院 民間企業における役員報酬(給与)調査 令和5年度 第3表 令和4年 企業規模別、役名別平均年間報酬 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部