小1でいじめ被害...指導した担任「今度なんかあったら自分で解決してね」相手児童の下校時ルールも『1週間しか守られず』...大阪市を提訴へ「いじめ防止法が希望」
小1の時にいじめに苦しんだAさん 担任『自分で解決してね』
いじめの認知件数が過去最多となっている。2022年度は前年度比10.8%増となる68万1948件。この数字は積極的ないじめ認定の表れということなのか?いじめに苦しむ2家族の取材から見えてくるものとは。 【写真で見る】小1当時の苦しさを取材に語ってくれた小学5年生のAさん「裸になってとか言われた」 大阪市の市立小学校に通う小学5年生のAさん。いつも自宅の倉庫に設置したブランコで遊んでいる。公園にひとりで行くことができないからだ。 (Aさん)「気持ちがしんどくても、家やったら落ち着くから。いつでもできるし」 Aさんが自由に遊びまわることができなくなったのは小学1年生の頃にさかのぼる。下校中に同級生の男児からランドセルや水筒などを無理やり持たされるいじめを受けた。 (Aさん)「何回も嫌って言ってもそれをやらされて。それと『裸になって』とか言われた。悲しかったし、しんどかったし。なんでこんなんされたのかがわからへんかった」 小学1年生の夏ごろから12月まで、何度も同じようなことがあり、Aさんの母親が学校へ相談。担任教諭が相手児童に事実確認をして指導をしたという。その後、担任からAさんは呼ばれたのだが…。 (Aさん)「『今度なんかあったら自分で解決してね』って言われた。(Qその時にどう思った?)悲しかった。なんかよくわからへんかった。頭がごちゃごちゃになった」 Aさんはこの翌日から、相手児童からまた何かされるのではないか、先生からも助けてもらえないと不安に感じ、不登校がちになる。学校に行く際も母親の付き添い無しでは行けなくなった。 (Aさんの母親)「がりがりに痩せてしまって、食べなくて寝なくてという状態になっていたので。急に真夏でも『寒い寒い』と震えたり、突然泣き出すだとか」 (Aさんの父親)「夜ふと目が覚めてトイレに行こうと思ったら2人が泣いているのを聞いたんですよ。普通じゃないですよね。怖い怖いって言っていました」 母親は学校に対して『娘が学校に行けるよう相手児童を強く指導できないか』と相談したのだが…。 (Aさんの母親)「『そんなことしたら彼がもしいじめられたらどうするの?』と学校から言われた。『そんなことはできない』と」 Aさんの症状は悪化して小学2年生の10月には保健室登校に。学校・Aさんの両親・相手児童の両親の三者で『相手児童が下校する時に保護者が迎えに行くか、担任が家まで付き添う』というルールが決められた。しかし…。 (Aさんの母親)「私と娘が一緒に帰っていたら、後ろから『待て』と言って追いかけてきたんですよね。学校側の認識は(相手児童の保護者が)迎えに来ているもんやと思っていたからそのまま門から出したと。なんで確認していなかったと聞いたら、学校はうち側の落ち度です、みたいなことは言っていたんですけれど」 実は1週間しかこのルールは守られておらず、相手児童は誰からの付き添いもなく下校していたのだ。 こうしたことからAさんの不安はさらに強まり、『抑うつ状態』と診断され、別の小学校に転校せざるをえなくなった。 (Aさんの母親)「(Q当初は転校にまで至ると思った?)最初は本当に学校の先生に言って終わりと思っていた。何かしらもうちょっと学校側が動けばなんとかなったんじゃないかという思いはすごくありました。傷は深く刻みこまれて、たぶん一生持つんだろうなと思いますね」 両親からの訴えを受けて、転校から5か月後の2022年5月に大阪市教育委員会が市長に『いじめ重大事態』と報告。第三者委員会はランドセルを持たされた行為をいじめと認定したうえで、学校の対応について『いじめではなく児童同士のトラブルとして対応したことが問題点で、相手児童に継続的支援をすべきだった』などと指摘した。