どちらかが「最終目標」を修正しない限り「出口」は見えない イスラエル・ハマス紛争の今後を専門家が解説
国際政治アナリストの菅原出氏が11月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。イスラエル・ハマス紛争について解説した。
イスラエルとハマスの休戦合意、ハマスが新たに17人の人質を解放
4日間の戦闘休止と引き換えに、ガザ地区で拘束している人質50人を解放することで合意したイスラム組織ハマスは11月26日、新たに人質17人を解放した。休戦中の人質解放は3回目で、過去2回では合計41人が解放されている。 飯田)現状、休戦や人質解放はスムーズに進んでいるのでしょうか? 菅原)「相手が合意違反をしている」などと言って、途中で止まったという報道もありますが、概ねスムーズに進んでいるという印象です。 飯田)休戦合意に至ったのは、国際世論が動かしたようなところがあるのでしょうか? 菅原)イスラエルに対する圧力という意味では、周辺のアラブ諸国やアメリカも「一時戦闘を停止しなさい」という圧力を強めていたので、その背景はあったと思います。
人質の解放はハマスが100人、イスラエルは300人のパレスチナ人捕虜の解放まで広がる
飯田)ハマス側にとって、この休戦に何かメリットはあるのでしょうか? 菅原)ハマスが人質を取ったもともとの狙いは、それを材料に相手と取引することでした。人質交換の交渉に持ち込もうと考えていたので、ハマスにとっては狙い通りだと思います。 飯田)延長する可能性はあるのでしょうか? 菅原)ハマス側が拘束している50人と、イスラエル側が収監しているパレスチナ人150人がベースですが、さらに4~5日延びると、おそらくハマスは拘束している人々を100人くらい解放し、逆にイスラエルは300人くらいのパレスチナ人捕虜を解放するところまでいくのではないかと思います。
日本にできることはあるのか
経済アナリスト・馬渕磨理子)国連が上手く機能していないなかで、日本はこの地域に対し、どのように関わっていけばいいでしょうか? 菅原)現在、人質の解放や戦闘休止などの交渉が行われていますが、その部分で日本にできることは、はっきり言ってほとんどないと思います。ハマスの政治部門と軍事部門の両方に対して交渉のパイプを持つのは、カタールやエジプトなど、長年付き合いのある国しかありません。ただ、戦後の復興や枠組みに対して、日本が関与できる余地は十分ありますので、その辺りである程度の役割を果たしていくしかないと思います。