”祈りの山”を憩いの場に 石仏33体残る里山を整備 雲海の季節には天空の城跡も/兵庫・丹波篠山市
今年も観音まつりを営み、近くの観音寺の平和宏道住職(49)が33体の石仏を巡りながら読経。住民らも静かに手を合わせて祈りをささげた。眺望が良くなってから初めて登る人もおり、「すごい景色」「きれいやな」「よお見える」と感嘆の声が上がった。 梅田会長(74)は、「整備が地域活性化につながれば。来年には丹波篠山国際博が開かれる。住民だけでなく、より多くの人に登ってもらいたい」と笑顔で話した。 整備を発案した森田栄さん(67)の生家は代々続く庄屋で、5代前の森田文右衛門(義憲)が天保の飢饉後の嘉永2年(1849)に西国三十三所霊場を巡った際の記録「西国道中記」が残されている。森田さんはこの旅が「霊場の砂を集めてきた」という言い伝えのことではないかと推測する。 史料によると、文右衛門は安口村と隣の川原村の住民を伴い、4月6日に出発。各霊場を訪れた日や休憩、宿泊地などを詳細に記しており、29日には33番の華厳寺(岐阜県)に到達している。 森田さんは文右衛門の足跡を地図に落とし込んでおり、その健脚ぶりと思いの深さに驚嘆している。