水樹奈々はエンタメの第一線を走り続ける 『ダンダダン』星子を成立させた“確かな実力”
“声優歴26年”水樹奈々が持つ圧倒的なバランス感覚
星子は、声優としても豊富なキャリアを積んでいる水樹だからこそ成り立つキャラクターであると声を大にして言いたい。水樹が演じる星子は『NARUTO -ナルト-』のヒナタや『ハートキャッチプリキュア!』のキュアブロッサムともまた違う声色が求められるキャラクターだが、年齢を重ねているだけあって、姉御感が存分に表れている。照れ隠しなのか、初めてオカルンと出会ったときには粗野な言葉で暴言を浴びせたこともあった。しかし、それも愛ゆえのものだとわかるのは水樹の声に生が宿っているから。ともすれば、現実感のない、つまりはアニメならではのキャラクターにも見えてしまうが、そうは見えないのは、口の悪さも、お茶目な一面も、そのキャラクターの心情をキャッチして、一人の人間として向き合っているからだろう。本作に限らず、ではあるのだが、水樹が演じるキャラクターはいつも生き生きして瑞々しい。それはまるでキャラクターに息を吹き込むかのように有機的な躍動感を感じさせるのだ。 ターボババアの呪いで暴走したオカルンを救い、ターボババアとの最終決戦ではとどめを刺すなど、大活躍を見せている星子。ネガティブ思考なオカルンと感情の赴くままに行動してしまうモモにとって、星子はピリッと辛い香辛料であり、時には緩衝材にもなりうる重要なキャラクターだ。水樹のそのバランス感覚が星子を魅力的なものにしている。 今期は『ダンダダン』をはじめ、『甘神さんちの縁結び』の姉小路舞昼、『七つの大罪 黙示録の四騎士』のマーガレット、『FAIRY TAIL 100年クエスト』のセレーネと多彩なキャラクターを演じている。声優デビューからはや26年。声優はもちろん、テレビ番組のナレーションや音楽で耳にすることが多く、水樹の声は私たちの生活に馴染んでいる。アーティスト25周年イヤーも控え、まだまだ進化し続けるであろう水樹にとって、『ダンダダン』は重要な作品であることは間違いない。
川崎龍也