５年ぶりに復活した東山盆踊り。にぎやかに繰り広げられた初日の「福島民報の夕べ」

　福島県会津若松市東山温泉の夏の風物詩「東山盆踊り」が１日、５年ぶりに復活した。初日は「福島民報の夕べ」で開幕し、市民らが踊りの輪を広げた。４日までの連夜にわたり、会津の奥座敷が熱気に包まれる。 　東山盆踊り実行委員会の主催。新型コロナ禍の中止を経て、今年で８０周年を迎えた。太平洋戦争時の１９４４（昭和１９）年、東京都台東区から東山温泉に疎開してきた児童を励まそうと、開催したのが始まりとされる。 　温泉街を流れる湯川に組まれた福島民報社寄贈のやぐらを、浴衣姿の宿泊客、市民らが囲んでいる。夜の深まりとともに暑さも和らぎ、涼しげな川のせせらぎの中で踊り流しを楽しんでいる。 　開催日はいずれも一般参加の盆踊りや抽選会、子ども盆踊りを繰り広げる。会場までは会津武家屋敷と東山共同駐車場からのシャトルバスを利用できる。 　　　　◇　　　◇ ■「祭りには人々の絆をつなぐ力がある」　実行委員長の平賀東山温泉観光協会長　８０年の節目

　「困難な時こそ、祭りには人々の絆をつなぐ力がある」。踊り流しを前にしたセレモニーで、実行委員長で東山温泉観光協会の平賀茂美会長が声を弾ませた。新型コロナ禍による中止期間を経て、５年ぶりに華やいだ会場を見渡し「８０年の節目を機に台東区と新たなつながりが生まれた。会津の文化としてつないでいきたい」と決意を新たにしていた。 　福島民報社寄贈のやぐらに登場した東山芸妓（げいぎ）衆が開幕に花を添えた。若手の冬華さん、伊おりさんがあでやかな舞を披露した。マイクの前に立ち、「会津磐梯山」の歌声で踊りを先導した芸妓の美紀子さんは「皆さんの協力のおかげで気持ちよく歌えた」と復活の感慨をかみしめた。市内の会社員大和田将也さん（３７）は「子どもと一緒に楽しい夏の思い出ができた」と喜んだ。 　福島民報の夕べの開催に際し、福島民報社の芳見弘一社長は「歴史の絆と参加する人の心を一つにして明るく元気に笑顔で踊ってほしい」とあいさつし、目黒要一副市長が祝辞を贈った。リオン・ドールコーポレーションの安西靖雄副社長、日銀福島支店の中嶋基晴支店長、東邦銀行の沢田誓常務執行役員会津営業部長、会津若松商工会議所の渋川恵男会頭、市議会の清川雅史議長らが来賓で参加した。

　　　　◇　　　◇ 　動画で初日の模様を視聴できる。