Laura day romance、2024年第1弾シングル「Young life/brighter brighter」をリリース「諦めることで広がったというか切り取れる場面が大きくなった」
──今回のシングルは「Young life」と「brighter brighter」の両A面でのリリースとなります。3人体制となったLaura day romanceとしての第一声となるシングルですが、この2曲はいろいろと候補あったなかから選んだものですか。 鈴木 10曲から12曲くらい候補としてあって、それをバンドで肉付けをして、このタイミングで出すならどれかなということで選ばれた2曲です。 ──まず「Young life」の方は、Laura day romanceとして新しいタイプの曲ですね。Death Cab For Cutieを思わせる、ポップなインディロックっぽさがあって、タイトなバンドサウンドでありつつ遊び心がある曲になりました。 井上 もう1曲の「brighter brighter」がこれまでの感じも引き継いだ曲なんですけど、「Young life」は今まで私たちの音楽を聴いていなかった層にもアプローチができそうだなということで、選んだものでした。「Young life」、いいですよね(笑)。 鈴木 境界線や摩擦という話をしましたけど、それは結構2023年の僕のモードで。2ndアルバム『roman candles』(2022年)とかEPの曲を書き終えて、自分は結局何が書きたいんだっけという感じになっていって。そこで他者との摩擦であるとか、いろんな物事の衝突について考えていたときに、いろんな境界線──例えば年齢的な境界だったり、大人か大人じゃないかとか、お節介と良心の境界だったりについて、思いを巡らせていて。そういうのが、4th EP『Sweet.ep』の「書きたい」あたりでなんとなく固まってきたんですよね、結局物語が生まれるのところって、そういう他者との境界や摩擦が起こる部分だなって。だから、そこから立ち上がるものを、すくい上げて曲にしようっていうモードだったんです。 ──歌詞としては、何か答えを出しているわけじゃないですよね。互いに分かり合えないもどかしさがありつつ、どこかで諦めもあって、そんな思いが交錯するヒリヒリ感が詰まっています。 鈴木 そうですね。別に、諦めイコール失敗じゃないというか。「Young life」ではとくにそこを描こうというのはありました。諦めてからスタート、みたいな。もう完全に無理だけど、無理だからこうするっていうのがはじまりにある曲というか。 井上 私から見ると2023年の迅くんは、“諦念感”がすごくありましたね。すべてにおいて一旦、諦めてるというか。ちょっとおじいちゃんみたいになってきてるけど(笑)。でも、ある意味でポジティブなんですよね。 鈴木 あまり期待しすぎない……という言い方をするとネガティブに響くかもしれないですけど、限界はどうしたってあるので。諦めることで、単純にちょっと広がったというか。曲で切り取れる場面が大きくなったんじゃないかなとは思ってます。 井上 たしかに、前よりも歌っていて広い話をしているなと思う。その分、歌っていて私も歌の世界に入りやすくなったというか。以前はピンポイントなことを歌った歌詞が多くて、それはそれでパーソナルなものですごくよかったんですけど、よりいろんな人が共感しやすいものになったなと思います。かといって、歌詞が単純化されたということではまったくなくて、いろんなふうに読み取れる幅が広がっている感じがしていて。 ──そこなんですよね、面白いのは。ただただキャッチーに、わかりやすくしたっていうだけじゃない、聴き手がどうなんだろうと考えられる余地がある。 鈴木 自分なりには目指してるんですけどね、キャッチーを。 井上 そうなんだ? 「Young life」に関しては、ヒリヒリ感がすごいですよね。2サビとかもヒリヒリの権化という歌詞で。 ──熱量がものすごく高い歌になっていますね。このパッションのある内容に対して、サウンド、とくにビートが乾いた感じで淡々と聴かせていますね。 礒本 聴いた感じだと打ち込みっぽいビートなんですけど、レコーディングは生音でそれぞれのパーツを録っていて、それをビートに組み上げた感じです。 鈴木 生と打ち込みの中間っていう感じだよね。 礒本 曲から汲み取ったものを解釈したというのはもちろんですけど。いろんな候補曲があったなかから今回シングルとしてこの2曲の組み合わせとなったときに、細かなニュアンスがあって、柔らかく包み込むような「brighter brighter」との対比をしっかり出そうというのはありました。 ──「brighter brighter」はたしかに、より感情の流れに沿った物語性のある曲ですね、コントラストがある2曲ですね。ちょっと気になっていたんですが、EPのときも思ったんですが、鈴木さんの歌詞は“神様”とか“天使”というワードがよく出てきていますよね。 井上 それは私も言っていたんですよね。 鈴木 これも、諦念なんですかね(笑)? “神様”とか、あと“世界”が出てくるんですけど、なんていうか、自分ではどうにもならないところってことだと思うんですよね。ユニバースの流れに逆らえないみたいな部分ですかね。 礒本 迅からこの曲が共有されたのが、ちょうど昨年の6月くらいで、メンバー脱退とかもあった頃だから。このタイミングでこの曲が出てくるっていうのは、何かあるんだろうなというのは思っていたけど(笑)。 鈴木 そうだったかな(笑)。 礒本 っていうのは、曲を聴いたファーストインプレッションではあったかな。