SP6位発進にも羽生が見せた隠れた進化
フィギュアスケートのグランプリシリーズ、スケート・カナダの男子ショートプログラム(SP)が現地時間、30日、カナダのレフブリッジで行われ、GPファイナル3連覇を狙うソチ五輪金メダリストの羽生結弦(20歳、ANA)が、GPシリーズに今季初登場。後半に入れた4回転ジャンプに失敗するなど、得点ゼロとなる2つの大きなジャンプのミスにより73.25点というまさかの6位発進となった。首位の村上大介(24歳、陽進堂)が80.88点で7.63差だ。 SPのプログラム曲は、昨季と同じ「バラード第1番」。冒頭のトリプルアクセルは成功したが、得点が1.1倍となる後半に入れた4回転トゥーループは、踏み切りにミスして2回転トゥーループになってしまう。今季からSPでは、単独のジャンプでは3回転以上が必須だったので、このジャンプは、ゼロ点。さらに3回転ルッツ-3回転トゥーループを予定していたコンビネーションジャンプも、3回転ルッツの着氷でバランスを崩して、次が跳べずに3回転トゥループが2回転トゥーループになってしまった。同一種類のジャンプを跳んではならないため、このエレメントの得点もゼロとなり、得点が伸びず、6位の出遅れにつながってしまった。 「4回転の失敗は、踏み切りでの力みが原因でしょう。タイミングのズレというよりも、力が入り過ぎて高さを作れずジャンプを締めきれませんでした。成功しなければならないというプレッシャーも手伝ったのかもしれません。メンタルが瞬間の力みを生むこともあります。後半のコンビネーションジャンプは、一つ目の三回転ルッツの入りで、スピードが落ちていました。4回転の失敗の影響と体力の消耗もあったのでしょう。後半はステップシークエンスでもエッジに深く乗れていない箇所もありました」 ミスの原因を元全日本4位で、フィギュアに関する著書もある現在インストラクターの今川知子さんは、こう分析した。だが、GPシリーズの開幕戦で、羽生はいくつかの進化を見せていたという。