山道CEO就任から1年でJPX株価2倍、高評価と相場活況で先導役
(ブルームバーグ): 日本取引所グループ(JPX)の山道裕己氏は最高経営責任者(CEO)2年目に入った。この間、JPXの株価は約2倍に上昇。日本株相場の活況を背景に業績が好調なことや山道氏への評価が買いにつながったとの見方がある。
山道氏が2023年4月1日にCEOに就任してからJPXの株価は104%上昇。3月には東京証券取引所グループと大阪証券取引所(現大阪取引所)の経営統合を経て13年1月に上場して以来の最高値を付けた。1年間の上昇率は東証株価指数(TOPIX)の38%や日経平均株価の44%を上回り、同業のロンドン証券取引所グループや香港取引所、シンガポール取引所などに対してもアウトパフォームしている。
JPXは3月22日、業績予想の前提となる売買代金・取引高を見直し、24年3月期業績予想の上方修正と増配を発表した。株式の1日平均売買代金想定は5兆円と従来から7000億円引き上げた。日本株は、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏による投資やインフレ、企業変革への期待などを背景に海外投資家の買いを集め、日経平均は史上最高値を更新した。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストはJPX株について、証券株のような「先導株に近い扱いをされるところがある」と話し、日本株の投資妙味が見いだされて相場が上昇する局面で買いを集めやすいと指摘した。さらに、日本株高の影響はあるものの、他国の同業他社と比較した株価の上げが目立つことから「山道氏が精力的にいろいろなところで発言をしていることも評価されているのだろう」と推察する。
山道CEOは1月の定例会見で「われわれのビジネスはボーダーレスだ」と述べ、国際的な競争力の向上に努めているとした。長く取り組んでいるコーポレートガバナンス(企業統治)改革の一環として企業には資本コストと株価を意識した経営を要請しており、「中長期的な目標と短期的なリターンのギャップをどう埋めるかがわれわれの課題だ」と語った。