息子が「東京の大学」へ進学希望。「生活費は自分で稼ぐから」と言っていますが、物価も高いでしょうし、勉強しながらは大変ですよね…?
国公立・私立ともに、国内最高峰レベルの大学が多く存在する東京都。毎年4月には全国から優秀な学生が集まり、一人暮らしなどの新生活を始めていく地域でもあります。 大学生が東京で暮らしていく生活費を自分で稼ぐ場合、アルバイトなどでどれほどの時間働く必要があるのでしょうか。実際のデータを参照しながらシミュレーションしてみましょう。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
2024年現在、東京で学生の一人暮らしにかかる費用は?
全国賃貸管理ビジネス協会のまとめた「全国家賃動向」によれば、2024年8月現在の東京都における「1部屋(1K・1DK・1LDK)」の募集賃料は、前年比9.5%増の7万5452円です。全国平均は5万2584円であることから、かなりの高額であるといえます。 近年の地価高騰にともなって家賃も上昇傾向であると考えると、来年以降に入居する場合はさらに家賃の全体的な底上げが起きていると考えていたほうが良いでしょう。 また、独立行政法人日本学生支援機構の調べた「令和4年度学生生活調査」によると、国立大学(昼間部)に所属し、下宿・アパートなどに居住している学生が、1年間の生活全般にかけている費用は以下の通りでした。 ●食費 27万1400円 ●住居・光熱費 48万500円 ●保健衛生費 4万9800円 ●娯楽・し好費 13万6500円 ●その他の日常費 16万1200円 ●合計:109万9400円(住居・光熱費を除くと61万8900円) 大学生が東京都で一人暮らししていく場合、一般的な下宿生活の大学生なみの生活をすると考えると、住居・光熱費を別としても年間61万8900円が必要です。これに、東京でのアパート賃貸料が月に7万円(年間84万円)、光熱費が月に1万円(年間12万円)上乗せされると考えると、1年間の生活費は157万8900円となります。
「東京でのアルバイト」でどれほど働けば、一人暮らしできる?
物価・家賃が高い一方で、東京は賃金が高いアルバイト先が集まる地域でもあります。イーアイデムの調べた「東京都の平均給与・給料・時給相場」によれば、現在(2024年9月2日)の東京都における「バイト、パート、派遣平均時給」は1443円で、時給1800円を超えるようなアルバイト求人も見当たります。 しかし、この時給であっても、東京での一人暮らしの生活をまかなうには、相当の時間を労働に費やすことが必要になってしまいます。 仮に「時給2000円」のアルバイトをコンスタントに行うことができたと仮定しても、先ほど計算した1年間の生活費157万8900円を稼ぎ出すには、単純計算で「年間約790時間」の勤労が必要です。 これは月に15日間アルバイトを入れたとしても、1日およそ4時間半近く働く必要がある計算になり、学生生活に支障が出てしまうことが懸念されます。 しかも、実際は年間160万円近くの収入を得ている場合は社会保険に加入する必要が生じ、所得税・住民税もかかってきますので、それらを考えると「額面給与」では年間200万円近く稼ぎ出す必要が生じます。 そのためには「時給2000円」のアルバイトでも年間1000時間、月に83時間以上の勤務が必要になりますので、いよいよ学業と両立することは困難になってしまうでしょう。 筆者としては、一人暮らしの学生が東京でアルバイトをするとしても「扶養の範囲内」におさめ、不足する分は、可能な限り生活費の圧縮と奨学金の給付・貸与でまかなうことをお勧めします。 特に、東京は「住居費」が割高であるため、抵抗がないのであれば学生寮への入寮やルームシェアリングをすることで大きく生活費を圧縮することが可能です。親としては進学希望の子どもの意向を確認し、検討していくべきでしょう。