現政権の信任か、それとも批判の受け皿か、獲得議席に直結する比例票へ熱視線 県内各党のそろばんは…
15日公示の衆院選は、政党にとって獲得議席を左右する比例票を掘り起こす戦いでもある。裏金事件の逆風に気をもんだり、政権批判の受け皿を狙ったりと思惑は交錯。鹿児島県に組織を持つ、または小選挙区に候補者を出す予定の計8党に比例九州の獲得議席や県内得票の目標を聞いた。 【写真】直近の衆院・参院選の県内比例獲得票数
比例九州の定数は20。得票に応じドント方式で配分された前回の議席は自民8、立憲民主4、公明4、日本維新の会2、共産1、国民民主1、社民0だった。参政は今回が衆院選初陣。小選挙区の候補を旗頭にする政党が多い。 県内の全4選挙区に擁立する自民県連は前回並みの31万票、8議席維持を目指す。「これまでと路線の違う“疑似政権交代”が起きた。力強い信任を得たい」と支持離れを防ぐ構えだ。 公明は政権批判の波及に警戒しつつ、自民との選挙協力が基本線。県内12万得票をうたい、4議席死守を掲げる。県本部は「政治改革や子育て支援を進めてきた」と実績をアピールする。 立民は前職が立つ1、3区を重視。県連は前回の15万票を大きく上回りたい考えだ。4議席からの倍増を期待する幹部は「物価高対策や人口減を食い止める雇用対策で支持を得たい」。 2区に新人を立てる共産は、県内で10%以上の得票を得て、議席アップを図る。政権の批判層が増えたとみる県委員会は「2区候補を先頭に支持を広げていきたい」と訴える。
国民は22年参院選を上回る3万票、2議席確保が目標。選挙区候補はいないが、県連は「党員サポーターや労働組合に支援を呼びかけ、消費税減税などの政策を浸透させる」と意気込む。 比例議席奪還が必達目標の社民県連合は得票4%、3万票以上を狙う。4区の新人勝利を前面に、比例復活も射程に入れ「生活や平和を守り、自民政治を変える戦いだ」と力を込める。 維新は前回以上の得票に向け、無党派層が多い鹿児島市に注力する。新人が立つ2区での支持をより集めたい陣営は「所得制限のない教育無償化など負担軽減策を訴える」と発奮する。 参政は、22年参院選で他地区と比べて高い支持を得た九州を重点区にした。県内選挙区に2人を立てる県連は、比例で「願わくば4万票を取りたい」。最低1議席を照準に合わせる。
南日本新聞 | 鹿児島
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