<リベンジの春・’23センバツ>2月の助走/下 クラーク、レギュラー争い 磨いた力、猛アピール /北海道
◇打撃強化「対外試合楽しみ」 5日の「岡崎レッドダイヤモンドスタジアム」(愛知県岡崎市)は緊張感が漂っていた。クラーク記念国際の選手たちから発せられるかけ声は、普段の練習の際の真剣さだけでなく、自分をアピールしようとする必死さがにじむ。行われていたのは紅白戦。冬の成長を示すことができる数少ない機会だ。甲子園に向けて激しいレギュラー争いの火蓋(ひぶた)が切られた。 紅白戦2試合目の二回表、塁上に走者を置いて打席に入ったのは、昨秋の全道大会を含む公式戦8試合で打率3割6分4厘とチームを引っ張った中村光琉(2年)だった。対峙(たいじ)したのは、1年生投手の魚津颯汰。キレのある直球が持ち味で、次期エースをうかがう期待の右腕だ。中村は後輩の球を迷わず強振し、左中間への適時三塁打となった。中村は「よい当たりだった。少しずつ変化球にも対応できるようになってきた」。 チーム一の俊足を誇る安部政信(2年)は得意のセーフティーバントで相手を翻弄(ほんろう)した。屋内練習場での地道なシャトルランなどによる筋力アップによって、走力に磨きがかかったという確かな手応えを感じていた。「自分の武器を使って、チームを勝たせたい」と意気込む。 エースの新岡歩輝主将(2年)もアピールに余念がない。内角ギリギリを攻めるスライダーにチームメートも「どうやったら打てるんだ」と脱帽。「球速も変化球のキレも秋からパワーアップした」と自信をのぞかせた。 一方、秋の全道大会から紅白戦までに、守備位置を変更する選手たちもいた。内野手の山田陽紫(1年)が外野手へ転向、投手の田中聖人(2年)が一塁手や捕手で試合に出場。複数のポジションをこなすことで出場機会をうかがう。佐々木啓司監督(67)は「選手それぞれのポテンシャルを生かす最善の守備位置を考えたい。守備や打順の選択肢が増えることはよいことだ」と話す。 合宿を終え、チームづくりのできは――。佐々木監督は「秋の課題だった打撃は8割が解消できた。問題は実戦でどれだけその力を出せるか。3月に解禁される対外試合が楽しみだね」と笑顔を見せた。【金将来】