Hulu「ツイステッド・メタル」より

アンソニー・マッキーが主演を務めるアクションコメディ「ツイステッド・メタル」シーズン1(Huluで全話独占配信中、全10話)。第6話ではクワイエット(ステファニー・ベアトリス)兄妹の悲惨な過去が描かれた。本記事では、考察を踏まえながら第6話を振り返る。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】良き相棒として旅をするアンソニー・マッキー“ジョン”とステファニー・ベアトリス“クワイエット” ■「ツイステッド・メタル」とは 「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズのクリエイター、デイビッド・ジャッフェ氏が手掛ける、PlayStation(R)の伝説的カーアクションゲームを映像化した本作。物語の舞台は、あるバグが世界中のコンピューターを破壊し、荒廃した終末世界。都市が巨大な壁を築き、安全な中の世界“インサイド”と、危険な外の世界“アウトサイド”に分断される中、運び屋のジョン・ドウが“インサイド”での生活を送るため、アメリカ3431kmを横断して危険なニューシカゴへ荷物を届けるというストーリーだ。 本作は2023年7月にアメリカの動画配信サイト「Peacock」で配信されると、2週間で“Peacock史上最も視聴されたコメディシリーズ作品”として新記録を樹立。海外の映画批評サイト「Rotten Tomatoes」でも高評価を獲得し、すでにシーズン2の制作も決定している。 本作の製作総指揮を手掛けるのは、映画「ゾンビランド」や「デッドプール」の脚本家としても知られるレット・リース氏とポール・ワーニック氏。また出演者には、「アベンジャーズ」シリーズのファルコン役で知られるアンソニー・マッキーが主演のジョン・ドウ役を務めるほか、彼の相棒・クワイエット役には「ブルックリン・ナイン-ナイン」などに出演するステファニー・ベアトリスが抜擢されている。 またニュー・サンフランシスコの最高責任者・レイヴン役は、「スクリーム」シリーズで知られるネーヴ・キャンベルが担当し、原作のゲームにも登場する殺人ピエロのスウィート・トゥース役は、プロレスラーのサモア・ジョーが担当。そして「ボージャック・ホースマン」出演のウィル・アーネットが、スウィート・トゥースのボイスキャストを務める。 ちなみに吹替版では、杉田智和、朴璐美、千葉繁、内田直哉といった実力派声優陣が各キャラクターの声を担当している。 ■バーガーショップで酷い仕打ちを受けるクワイエット兄妹… 第6話では、クワイエット(ステファニー・ベアトリス)とラウド兄妹の痛ましい過去について生々しく描かれた。 2人はかつてオレンジ郡・ファームランドで、オレンジ収穫の仕事をしていた。同じことを繰り返す毎日を送る中、ある時ビーチでの暮らしを約束された“別の仕事”に就くため、ファームを抜け出す。 クワイエットとラウドが見つけた仕事は、海沿いにあるバーガーショップの店員。しかしこの店、何かがおかしく…。3年後、クワイエットは中指を失っていた。実は卑劣なバーガーショップの店長は、雇った従業員の身体の一部を切り落とし、コレクションするという非道な趣味の持ち主だったのだ。 バーガーショップの店長はナイフでラウドの耳をそぎ落とし、じりじりと追い詰める…。そこへクワイエットが駆け付け店長を刺殺。「私たちが望んだのはいい生活だよ」とラウドを抱きしめ、店にあった車を奪って、その場から逃げ去るのだった――。 ■命からがら逃れたジョンとクワイエットはバーガーショップに身を隠す 現在のシーンでは、ストーンから何とか逃れたジョンとクワイエットは、とあるバーガーショップに身を寄せていた。ストーンを殺せなかったことで怒りが収まらないクワイエットだったが、そのうち嵐に見舞われ、2人はしばらくその場にとどまることに。 その間、お互いの話をしたりして束の間のひと時を過ごすジョンとクワイエット。そうしている内に、ふとジョンはクワイエットに「俺と来いよ」「相棒になるんだ」とミッションに誘う。 「メリットが無い」と断るクワイエットに、ジョンは「配達すればインサイドでの良い生活ができる」と提案するが、クワイエットは「幻想だよ」とインサイドでの生活を拒む。それどころか、「嵐が去ったら出ていく」と言い出し、2人は喧嘩をしてしまう…。 しかし、ジョンがクワイエットに優しく寄り添ったことで2人は仲直りする。「私たちは孤独じゃない」と自分たちに言い聞かせるのだった。翌朝、嵐が過ぎ去りクワイエットを正式に“相棒”として迎えたジョンは、ニュー・シカゴに向けて車を走らせるのだった――。 ■心を閉ざすクワイエット、過去のトラウマから人間不信に？ 第6話では、ジョンとクワイエットが正式に相棒になる様子が描かれた。喧嘩の多い2人だが、この孤独な世界でお互いの存在は大きく、クワイエットが兄のことを想いふさぎ込む時も、ジョンは傍に寄り添っていた。言葉を発さなかったクワイエットも、ジョンの優しさに触れたことで、次第に心を開いていったのだろう。 相棒となった2人にはインサイドでの暮らしを手に入れてもらいたいところだが、ここで気になるのは第1話で登場したニュー・サンフランシスコのCOO・レイヴン(ネーヴ・キャンベル)の存在。レイヴンはジョンを“有能なミルクマン”としか見ていないような気もするので、部外者であるクワイエットがインサイドに入ることを許すかどうか際どいところだ。 また、同話ではクワイエットの辛すぎる過去が明らかになった。自由と“いい生活”を求めた兄妹は、卑劣なバーガーショップの店長に出会ったことで、クワイエットは中指を、ラウドは耳を失ってしまった。クワイエットが他人に心を開きにくいのも、“インサイドでの生活”を拒絶したのも、過去のトラウマによる“人間不信”が影響しているのかもしれない。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部