男女別・都道府県別「年収1000万円超え」の割合はどこまで変わるか
「年収1000万円」というと、ひと昔前は、タワーマンションに住み、高級車を乗り回しているイメージがありましたが、最近では、「年収1000万円」は“高所得貧乏”などといわれるようになっています。 【図表1~7】年収1000万円はどれだけいる?都道府県ランキングはこちら その理由は、税金を多く取られているのに、手当はもらえず、生活が苦しくなっているからです。 このように「年収1000万円」のイメージはだいぶ変わりましたが、それでも、年収1000万円の大台を超えることを目標に仕事を頑張っている人は多いと思います。 年末が近づき、「来年こそは」と考えている方も多いのではないでしょうか。 そこで、年収1000万円超えを実現している人はどのくらいいるのか、男女別、世帯別、都道府県別など、さまざまな角度からご紹介します。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
年収1000万円超えはどのくらいいるか
国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」から、1年を通じて勤務した給与所得者の給与階級別の構成比をみてみましょう(【図表1】参照)。 なお、ここでいう「給与」は1年間の支給総額、いわゆる「年収」にあたります。 一番割合が多いのは400万円以下の16.5%、その次が500万円以下の15.3%となります。 従って平均給与は458万円となっています。本題の1000万円超えは、5.4%となります。 内訳をみてみると、1000万円超~1500万円以下が4.0%、1500万円超~2000万円以下が0.8%、2000万円超~2500万円以下が0.3%、2500万円超が0.3%です。 なお、900万円超~1000万円以下は2.2%となっています。 給与所得者18人~19人中1人は年収1000万円超えということです。 ●年収1000万円超えの男女別の割合 先ほどの給与階級別構成比を男女別でみてみましょう(【図表2】参照)。 男性で一番割合が多いのは400万円超~500万円以下の17.7%、女性で一番割合が多いのは100万円超~200万円以下の21.5%となっています。 男女の給与格差が見て取れます。 年収1000万円超えの割合をみると、男性は8.4%となっています。 内訳は、1000万円超~1500万円以下が6.2%、1500万円超~2000万円以下が1.3%、2000万円超~2500万円以下が0.4%、2500万円超が0.5%となっています。 女性で年収1000万円超えの割合は1.5%です。 内訳は、1000万円超~1500万円以下が1.0%、1500万円超~2000万円以下が0.3%、2000万円超~2500万円以下が0.1%、2500万円超が0.1%となっています。 年収1000万円超えの人は、男性がおよそ12人に1人の割合であるのに対し、女性はおよそ67人に1人の割合です。 男女雇用機会均等法が制定されてから38年経ちますが、未だに大きな差があります。 ●年収1000万円超えは増えているか 給与所得者の5.4%が年収1000万円超えということがわかりましたが、この割合は増えているのでしょうか。 2014年まで遡って、9年間の推移をみてみましょう(【図表3】参照)。 年収1000万円超えの割合は、2014年は4.5%であったのに対し、2022年には5.4%になり、約1%程度増えています。 これだけをみると喜ばしいように思えますが、9年前と比べて、介護保険料と厚生年金保険料が上がっています。 さらに、給与所得控除が見直され、2014年は適用上限設定が1500万円、適用上限額が245万円であったのが、現在は適用上限設定が850万円、控除上限額195万円にまで下がっています。 つまり、2014年では、年収1000万円超えの人は220万円~245万円の給与所得控除があったのに対し、現在は一律195万円になっています。 年収1000万円超えの人は給与所得控除だけでも5万7500円以上手取りが減っていることになります。 年収1000万円超えの割合が増えても、手取りベースで考えると給料が増えたとは感じにくいと思います。 さらに、消費税率も8%から10%に上がっており、この上物価上昇が追い打ちをかけているので、年収1000万円で叶う生活レベルは年々下がっているといえるでしょう。