経営者、融資返済のリスケを要請したら…銀行「担当が変わりました」。わかると怖いウラ事情【ベテランコンサルタントが解説】
経営者は時に、銀行員との会話のなかで、相手の言葉に疑問や不安を感じることがあります。ここでは、銀行員のひとことに秘められた真意について、ベテランのコンサルタントが解説します。※本連載は、川北英貴氏の著書『社長、この1冊で融資交渉が強くなります! 銀行員のそのひとことには理由がある』(すばる舎)より一部を抜粋・再編集したものです。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
債務者区分が変更になった可能性
「担当部署が代わりました」 (債権管理部署や債権回収会社などへの担当部署変更) 銀行の担当者が、支店の銀行員から、本部の「事業支援部」「経営支援部」「融資管理部」といった名称の部署や「○○○○債権回収」といった名称の銀行系列の債権回収会社(以下「債権回収部署」)に代わることがあります。 この場合、銀行からつけられている債務者区分が「要注意先」以下になった可能性が高いです。債務者区分には良いほうから、 「正常先」 「要注意先」 「要管理先」 「破綻懸念(はたんけねん)先」 「実質破綻先」 「破綻先」 があります。銀行は融資先企業に、財務状況や融資の返済状況によって債務者区分をつけています。「要注意先」以下となったら融資の審査が厳しくなったり、まったく審査が通らなくなったりします。 債権回収部署に担当が代わるのは、融資の返済の減額・猶予(リスケジュール)を行った場合であることが多いです。 一方、返済を正常に行っている会社でも債権回収部署に担当が代わることがあります。この場合、企業の債務者区分が「要注意先」以下となり、銀行が融資の回収を進めようとしていることが推測されます。 債権回収部署に担当が代わった後、新たな融資は期待できなくなります。なぜ担当が代わるのか、銀行員に聞いてみるとよいでしょう。正直に答えてくれるかもしれません。 銀行が融資の回収を図るには専門の知識・ノウハウ・経験が必要です。そこで銀行では債権回収部署を作り、融資の回収を図っていく融資先ではその部署に担当を代えるのです。また銀行のなかには、系列の債権回収会社(サービサー)に融資の回収を任せているところもあります。 債権回収部署に担当が代わっても、他の銀行で融資を受けられるのであれば、問題ありません。他の銀行が自社に対し、どのような融資方針であるのかを把握してください。 他の銀行でも新たな融資が難しかったり、融資は出ても少額でしかなかったりする場合、既存の融資の返済負担が大きければやがて資金不足に陥ります。銀行に交渉し、返済を減額・猶予(リスケジュール)してもらうよう交渉すべきです。 《ポイント》 債権回収部署に担当が代わる背景には、債務者区分が「要注意先」以下になり、融資を回収する方針になったことが想像される。その銀行で新たな融資は期待できない。