土井先生×きり丸、なぜ家族のような特別な絆に? <劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師>
「劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師」が、12月20日(金)より公開される。「忍たま乱太郎」は、尼子騒兵衛の「落第忍者乱太郎」を原作にしたテレビアニメ。忍者のたまご略して“忍たま”たちが、稗田八方斎(ひえたはっぽうさい)率いるドクタケ忍者隊の悪だくみを阻止しようと奮闘する姿を描く。テンポ感の良さと笑いの塩梅が絶妙な本作だが、今回の新作映画は普段の「忍たま」とはひと味違ったシリアスな展開が待ち受けている。 【動画】土井先生の授業風「だいたい2分でわかる『忍たま乱太郎』」特別映像 タソガレドキ忍者・諸泉尊奈門との決闘に向かったあと、消息を絶ってしまった土井先生。山田先生と六年生による土井先生の捜索が始まる中、きり丸は偶然、土井先生が置かれた状況を知ってしまう。一方、土井先生捜索中の六年生の前に突如現れたのは、ドクタケ忍者隊の冷徹な軍師・天鬼。その顔は、土井先生と瓜二つだった。乱太郎、きり丸、しんべヱたちは、土井先生を取り戻すために立ち上がる。 同映画のキーマンは、土井先生こと土井半助。そして、そんな土井先生と(忍術学園の長期休み中は)共に暮らしている忍術学園一年は組の生徒・きり丸の心情に特にフォーカスが当たっている。担任である土井先生と生徒の内の一人であるきり丸の絆はなぜ特別なものへと育まれていったのか?その理由を紐解きたい。 ■土井先生がきり丸を気にかける理由とは? そもそも「忍たま」を一度でも観たことがある人たちは、きり丸=お金が大好きというイメージが強いのではないだろうか。このきり丸の特徴が2人の絆を紐解く上で重要になってくる。なぜきり丸はこんなにも小銭が大好きで、「タダ」「安い」という言葉に弱いのか?それは、きり丸が“戦争孤児”だからである。 いつもギャグが満載で明るく楽しい「忍たま」だが、実は物語の舞台は室町時代後期。きり丸は、戦で家を焼かれて家族を亡くしたというあまりにも壮絶な過去を背負っている。そのため、きり丸は忍術学園の学費と生活費を稼ぐために、アルバイト三昧な日々を送っているのだ。まだたった10歳なのに…一人でたくましく強く生きねばならない。 長期休みを一緒に過ごすことに慣れてきたきり丸と土井先生。あるとき、きり丸はふと「先生はどうして僕のことを気にかけてくれるんですか?」と疑問を口にする。土井先生は「同じような育ち方してるからかな」と返すのだが、実は土井先生もまた家族と家を失っていた。 幼いころに屋敷が夜襲に遭い、土井先生以外の家族が皆殺しにあってしまう。その後、紆余曲折あり、山田(伝蔵)先生との偶然の出会いから、忍術学園の教師になるのだった。土井先生もまたきり丸と同じようにあまりにも悲しくてつらい過去を持ち、必死に生き抜いてきた。 土井先生は元々優しく面倒見が良いというまさに仏のような性格の持ち主であることに加え、誰よりもきり丸の気持ちが分かるからこそ、彼をほっとけないのだろう。独り同士だからこそ、血は繋がっていないがそれに負けず劣らず強固で特別な絆で結ばれている。土井先生ときり丸はお互いが家族のように大切なのである。特にきり丸にとっては、土井先生が唯一甘えられて、信頼できて、そして温もりを感じられる大人なのではないだろうか。 土井先生のダークな一面が開花しそうな同映画。今度はそんな闇の中で迷子になっている土井先生に、きり丸が「さ、一緒に帰ろう」と光の手を差し伸べるのかもしれない。 構成・文=戸塚安友奈