七代目三遊亭円楽、王楽が襲名「ポピュラーな名前小さくしないように」…小言言われ続けた六代目の遺言で
五代目三遊亭円楽の最後の弟子で、六代目円楽の弟弟子にあたる三遊亭王楽(47)が来年2月、七代目円楽を襲名する。これまでの落語家人生と襲名後の抱負を聞いた。(森重達裕)
「五代目も六代目も、全国的に顔を知らない人がいないぐらいポピュラーな名前。小さくしないように」と気持ちを引き締める。
人気番組「笑点」のレギュラー、三遊亭好楽の長男だが、大学生まで落語に全く関心がなかった。だが、ふとしたきっかけで聴いた落語に熱中し、「父親以外」で師匠を探した末に2001年、五代目円楽に入門。父とは兄弟弟子になった。
当時68歳だった五代目には孫のようにかわいがられ、入門して2か月で10席も噺(はなし)を教わった。その後は「自分に似合うものばかりやってると固まっちゃう」と一門外の様々な先輩の所へ稽古に通った。
現在持ちネタは200席近く。二ツ目時代にNHKの新人演芸コンクールで落語部門の大賞も受けた。「師匠を愛しているから誰に教わっても師匠の薫りが出ちゃう。あと、私は習わなくても声とか間がよく父親に似てると言われます。心外ですけどね」と苦笑する。
だが、先輩が自分によくしてくれるのは、かつて好楽が彼らに親切にしていたからだと気づいた。「前座の頃から助かったことがいっぱいありました。何でも自由にさせてもらえたのは父親のおかげです」
一方、2年前に亡くなった兄弟子の六代目円楽からは「お前の落語はダメだ」と小言を言われ続けた。「隣に父がいても怒られましたが、どんどん染みてきました。何でダメかは言わない。言われたら何がいけないんだろうと考えることが大事でした」。今回の襲名話は「七代目は王楽に」との六代目の遺言によるもので、厳しく接したのは期待の裏返しだったのだろう。
入門同期で学年も同じスターに春風亭一之輔がいる。「ああいうモンスターが同期にいてくれてありがたい」。五代目円楽一門会にも先輩に三遊亭兼好、後輩に三遊亭萬橘と、ライバル視する実力者がいる。