【FRでMTありの300ps】トヨタが目指したイタ車「ヴェロッサ」なぜ3年の短命で終わったのか
躍動感のあるデザインや走りを意識したエンジンラインアップなど、それまでのトヨタのセダンのイメージを覆すモデルであったにもかかわらず、わずか3年弱という短い期間で販売終了となった悲運のモデル、トヨタ「ヴェロッサ」。はたして、ヴェロッサとはどんなクルマだったのか、なぜ短命に終わったのか? 【写真】この記事のヴェロッサの内外装を見るならこちらから
■イタリアンテイストの「エモい」クルマだった、ヴェロッサ
「エモーショナル セダン」を開発テーマに、魅惑的で情感のあるデザインや心たかぶる走りとともに、クルマにこだわりを持つ人の感性を満たす新しい高級セダンとして2001年7月に登場した、トヨタ「ヴェロッサ」。 エクステリアは、塊感のある造形と流れるようなプレスライン、ボディと一体感のあるヘッドランプやスリット状の開口部など、かなり個性的なデザインが採用され、インテリアもセンタークラスターから始まる動きのあるキャラクターラインや、楕円をモチーフにした立体的なレジスター、スモークメッキリングなど、スポーティな雰囲気を中心にしつつ個性が強調されていました。 「ヴェロッサ」という名は、イタリア語の真実(Vero)と赤(Rosso)からの造語が由来であるよう。イタリアンテイストのクセの強いスタイリングは、ヴェロッサと同じ2001年に登場した「ランチア テージス」(こちらは純粋にイタ車)のような、もっといえば、そのデザインの元となるコンセプトカー「ディアロゴス」(1998年のトリノオートショーに出展)を意識したようにも感じられるもの。まさに「エモさ」あふれるクルマでした。
■走りも楽しめるパワートレインとレーシーな雰囲気も特徴的
そんなヴェロッサには、2代目アリストや10代目クラウンに採用された後輪駆動用プラットフォームを使用した2.5Lターボをはじめとする全車VVT-i(連続可変バルブタイミング機構)がラインアップ。トランスミッションは5速ATの他、5速MTもあり、スポーティな走りを楽しむこともできました。基本的にはFRですが、2.0Lエンジン搭載車には4WDも用意されていました。 ドライバーズメーターは大型の3眼タイプで、立体的なリングとメタリックな表面処理、赤色照明の採用でレーシーな雰囲気に仕上げられていました。スカッフプレートをメタル調に、ペダル類やフットレストの表面もアルミプレートが装着され、スポーティな仕上がりに。 2002年1月には、トヨタのカスタマイズパーツブランド「モデリスタ」が手がけた特別仕様車「スペチアーレ(イタリア語で「特別な」という意味)」も登場しました。なかでも、ヤマハ製の専用ターボを装着した「VR25 SG」は胸アツで、最高出力は300ps、排気系やサスペンションにも手が入った、さらにエモいクルマに仕上がっていました。