甲子園で「魔球みたいになっている」京都国際・西村一毅が操る、低反発バットに“効く”球種とは…「フルスイングさせない」秘密を読み解く
3試合23イニングに登板していまだ失点なし。春のセンバツはメンバー外だった男が、準決勝も5回から登板してチームを勝利に導くピッチングを見せた。 【現地写真】「これが魔球の使い手」京都国際の23回無失点男とエースの熱い抱擁……から激闘が記憶に新しい番狂せ校「大社高」の思い出まですべて見る 京都国際の背番号「11」 西村一毅は、今大会、最も打たれていないピッチャーだ。 「個人的には西村が試合で活躍するようになって、チェンジアップって効果的なんやなと思いました。バットが変わって、芯に当たらないと飛ばないじゃないですか。芯を外してしまえば打球が弱くなってしまう。前のバットに比べてヒットになる確率は少なくなるのかなと」 センターからチームメイトを見つめる澤田遥斗は、後輩の快投についてそんな見解を示した。 左腕から130キロ台中盤のストレートと同じ軌道で沈んでいくチェンジアップが、西村の持ち味だ。興味深いのは、西村のチェンジアップはそれほど三振を取る球種ではないながら効果を発揮しているところだ。高校生の場合、特筆すべき変化球を持っていると時にそれだけで決め球になり得るが、このボールは決してそういうわけではない。
当てられても捉えられない
捕手の奥井颯大は「誰も見たことがないチェンジアップ。困ったらこれ投げとけみたいな感じ」と話す。ストレートと同じ軌道で向かってくるが、ボールがなかなかやって来ずに沈んでいく。当てることはできても、捉えることができない厄介球なのである。 証言として興味深いのは澤田のいう「低反発バットになって」という視点だろう。 捕手の奥井も同調する。 「最初は真っ直ぐに見えて、そこから急ブレーキして外に逃げていくので、分かっていても打たれない。チェンジアップはあまりフルスイングされないというのがあると思います。長打を打たれたことが一度もないんです。タイミングを外せるので、本当に有効な変化球になっています」 京都国際の選手たちの話を聞いていると、彼らのいうとおりかもしれないと感じる。今大会全体を見てみても、総じてチェンジアップを巧みに投げる投手が多かった。躍進を遂げた大社のサウスポー馬庭優太も、投げる割合こそ少なかったが、早実の宇野真仁朗など強打者にはチェンジアップを使っていたし、智弁学園の左エース田近楓雅は3種類のチェンジアップを使い分けてベスト8入りに貢献。大阪桐蔭打線をマダックスに封じた小松大谷の西川大智も、試合の後半からチェンジアップを巧みに投げ分けていた。 智弁学園の田近はいう。 「チェンジアップは落とし方を変えるんですけど、左右関係なく、アバウトに広い幅を持って投げている。思い切り腕を振って投げているので真ん中にいっても打たれない。だから、左バッターでも(死球を当ててしまうことを)心配していなかったです。自信を持って投げれた」 もともとチェンジアップの使い手だったというが、今大会は3つを使い分けた。縦、横、斜めと角度を変えて投げ分ける。田近の場合はこの春からはスライダーが決まるようになり、チェンジアップとのコンビネーションで打者を翻弄。的を絞らせなかったという。
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