「パラサイト 半地下の家族」「殺人の追憶」など、ポン・ジュノ監督作品6タイトルを一挙放送 あらすじと見どころを紹介
BS松竹東急(全国無料放送・BS260ch)では、『鬼才に喝采!アカデミー賞受賞監督 ポン・ジュノ特集』と題して、「パラサイト 半地下の家族」をはじめとするポン・ジュノ監督作品6タイトルを、9月20日(金)~9月28日(土)にかけて一挙ノーカット放送する。そこで本記事では、放送ラインナップとともに各作品のあらすじや見どころについて紹介していく。 【動画】ポン・ジュノ監督の珠玉の6作品を特集放送 ■カンヌ国際映画祭にてパルムドール受賞、予測不能な展開で描かれる「パラサイト 半地下の家族」 9月27日(金)夜8時からは、ポン・ジュノ監督の代表作とも言える映画「パラサイト 半地下の家族」(2019年日本公開)を放送。「第92回 米アカデミー賞」で作品賞、監督賞など4冠を達成し、「第72回 カンヌ国際映画祭」では韓国映画初の快挙・パルムドールを受賞した。 物語の中心として描かれるのは、半地下の家でその日暮らしをする貧しいキム一家。ある時、長男のギウ(チェ・ウシク)がIT企業のCEOを夫に持つパク家族の豪邸で家庭教師をすることになる。そして、妹のギジョン(パク・ソダム)は絵画の教師、父親のギテク(ソン・ガンホ)は運転手、母親のチュンスク(チャン・ヘジン)は家政婦として、キム一家は少しずつパク家に“寄生”していく。そんな正反対な家族だが、パク家で発生したある事件により、事態は思わぬ方向へと進み出す――。 前半はコメディ要素も強く、キム一家がパク家を騙し潜り込んでいく“連携プレー”にワクワクさせられるシーンもあるが、パク家での秘密が明かされたり、誕生日パーティーで悲劇が起きたりと、物語が進むにつれて“恐怖”や“衝撃”が押し寄せ、息つく間もなくラストを迎える。前半と後半とで全く異なる予測不能なストーリー展開は、まさに超一級のエンタメ作品と言えるだろう。 ■実在の連続殺人事件を元に描いた「殺人の追憶」 9月20日(金)夜8時からは、映画「殺人の追憶」(2004年日本公開)を放送。ソウル近郊の農村で若い女性の変死体が発見され、その後も同じ手口の殺人事件が発生するという、実際に起きた連続殺人事件を元にした、リアル・サスペンスだ。性格も捜査スタイルも正反対な、地元警察のパク・トゥマン(ソン・ガンホ)とソウル市警から派遣されたソ・テユン(キム・サンギョン)の2人がタッグを組み、衝突を繰り返しながらも難事件に挑む様子が描かれる。 韓国内でも有名な事件を扱った本作。当時未解決事件だったこともあり、そのセンセーショナルな題材に多くの国民が釘付けになった。「パラサイト 半地下の家族」で主演を務めたソン・ガンホが刑事役として奮闘する姿や、物語ラストで犯人に問いかけるシーンは見どころとなっている。 そして9月24日(火)夜8時からは、ポン・ジュノ監督の長編デビュー作にして、ペ・ドゥナの初主演作となる映画「ほえる犬は噛まない」(2003年日本公開)を放送。中流家庭のマンションで暮らす大学の非常勤講師・ユンジュ(イ・ソンジェ)は、マンションで飼育が禁止されているはずの犬の鳴き声が聞こえたことに腹を立て、たまたま見つけた犬を地下室に閉じ込める。一方、マンションの管理事務所で働くヒョンナム(ペ・ドゥナ)は、団地に住む少女の愛犬がいなくなったことを知り、ビラ貼りの手伝いをすることになるのだが――。 連続子犬失踪事件をめぐる騒動を、シュールに描いた本作。シニカルコメディとして、ポン・ジュノ流のブラックユーモアも多数盛り込まれている。ちなみに、主演を務めたペ・ドゥナは本作を通して大ブレイク。黄色いパーカーが似合うかわいらしいルックスと、正義感あふれるフレッシュな演技が見どころだ。 ■大どんでん返しが見どころのヒューマン・ミステリー「母なる証明」 9月25日(水)夜8時からは、特異な密閉空間が舞台となるアクション&サスペンス・ミステリー「スノーピアサー」(2014年日本公開)を放送。本作は、クリス・エバンス、ジョン・ハート、ティルダ・スウィントンなど欧米のキャストを招き、ポン・ジュノ監督が初めて手掛けた英語作品。 地球温暖化を防ぐため78カ国で「CW-7」という薬品が散布された結果、地球上が深い雪に覆われ氷河期が再来してしまう。それから17年後、生き残った“スノーピアサー”と呼ばれる人々は列車の中で生活をしていたが、列車の前方は上流階級、後列は貧しい人々で構成されるという、厳しい階層社会が形成されていた――。“所得による格差”をテーマにしており、全編の99%が列車内でのシーンとなっている。富裕層と貧困者による抗争へとつながっていく過程にも注目だ。 9月26日(木)夜8時からは、大どんでん返しが見どころのヒューマン・ミステリー「母なる証明」(2009年日本公開)を放送。貧しいながらも幸せに暮らしていたある親子。ある日突然、息子のトジュン(ウォンビン)が警察に拘束され、殺人事件の容疑者にさせられてしまう…。孤立無援の母親(キム・ヘジャ)は息子の無実を信じ、たった1人で真実に迫ろうとする――。 日本での韓流ブームの火付け役となった四天王の一人・ウォンビンと、“韓国の母”と呼ばれる演技派女優のキム・ヘジャが親子役を演じたことでも話題を呼んだ本作。息子を守るため、時に狂気に染まりながら必死に真実を探ろうとする姿には、母親の“無償の愛”を感じずにはいられない。また、これまで正統派なイケメンを演じることが多かったウォンビンが、少しおっちょこちょいで“マザコン”な役柄を熱演。彼の新境地にも注目したい。 そして、9月28日(土)夜9時からは、ソン・ガンホ、ペ・ドゥナが怪物と対決するモンスター・パニック映画「グエムル 漢江の怪物」(2006年日本公開)を放送。本作は、恐ろしい怪物に娘を奪われた家族の死闘を描き大ヒットを記録した。ある時、ソウル中心部を流れる漢江の河川敷に、突如として凶暴で巨大な怪物が出現。正体不明の怪物は次々と周囲の人を襲い、河川敷で売店を営んでいたパク家の娘・ヒョンソ(コ・アソン)をさらい水中へ消えていく…。韓国政府はこの怪物を“伝染病ウイルスの宿主”だと発表し、怪物と接触したパク家は病院に収容されてしまった。そして、ヒョンソの父カンドゥ(ソン・ガンホ)を中心に、パク一家は病院を抜け出し、娘を取り戻すために怪物に立ち向かっていく――。 ヒューマンドラマを描くことが多かったポン・ジュノ監督が、怪物を題材にした作品に挑戦した本作。しかし単なるパニック映画ではなく、物語の中心として描かれているのは“大切な娘を救いたい”という家族の想いだ。ポン・ジュノ監督も以前インタビューにて、「グエムルという怪物が出てきますが、この映画はあくまでも家族の物語、人物中心の物語です」と語っていた。あくまでもヒューマンドラマであり、“モンスター・パニック”というイメージで視聴すると、ずいぶん印象が変わるのが本作の見どころの一つだ。