【競馬予想】天皇賞・秋は現役トップクラスが集結も波乱含み...浮上可能な穴馬は2頭
そうして、藤田記者は2頭の穴馬候補をピックアップした。1頭目は、ホウオウビスケッツ(牡4歳)だ。 「今年から岩田康誠騎手とコンビを組むようになり、ハミ受けや操縦性が向上して安定感が出てきました。驚いたのが、前走のGII毎日王冠(10月6日/東京・芝1800m)。夏負けが尾を引いて本来の調子を取り戻せず、1週前の追い切りに騎乗した相棒の岩田康騎手も辛口のジャッジでしたが、レースではハナを主張すると、ゴール直前まで粘っての2着。勝ち馬とクビ差という僅差の内容で、あらためて地力強化が裏づけされました」 今年は5戦して、いずれも3着以内。とりわけ近3走は、オープン特別の巴賞(6月30日/函館・芝1800m)1着、GIII函館記念(7月14日/函館・芝2000m)1着、毎日王冠2着と好走を続けている。 「今回は中2週の臨戦過程となりますが、脚さばきに軽さが出て、反応もシャープ。前走後の反動もなく、使った上積みは大きいです。 加えて、展開面でも恩恵を受けそうな組み合わせ。前に行きそうなのは、シルトホルン(牡4歳)や、同厩のノースブリッジ(牡6歳)くらいしか見当たらず、自分のリズムでペースコントロールができそうです。 それを可能にするのが、成長した気性面。1週前には今回鞍上を務める岩田望来騎手が騎乗して、『すごく乗りやすくて、操縦性が高いです』と高評価でした。以前は折り合い面で不安を抱えていましたが、充実した今ならテン乗りも問題ありません。有力馬が中団、後方で構えるなか、先行策からアッと言わせてくれるのではないでしょうか」
藤田記者が注目するもう1頭は、ステラヴェローチェ(牡6歳)だ。 「近走の敗因は明白。大阪杯(4着。3月31日)は踏み遅れで脚を余し、GI安田記念(9着。6月2日/東京・芝1600m)は壁を作れずにかかり気味でした。前走のGIIオールカマー(6着。9月22日/中山・芝2200m)も坂路オンリーの調教で、もうひと押しが利かなかっただけ。 この中間は足元を気にせず、2週前、1週前とコースで一段階踏み込んだ調整を施すことができました。馬体の張り、毛ヅヤは文句なし。間違いなく状態は前走以上ですし、屈腱炎で長く休んでいただけに、6歳でも馬はまだまだフレッシュです。 それに、2度の重賞勝ちが不良場だったように、同馬は道悪の鬼。もしかすると、今週末の雨予報が味方になるかもしれません。折り合い面から前走から1ハロン短縮も歓迎。GIにはあと一歩届いていませんが、馬場状態や展開などがうまくかみ合えば、大金星があっても不思議ではありません。 ちなみに、同馬を管理する須貝尚介厩舎と鞍上の佐々木大輔騎手のコンビは今年、重賞2勝を含む15勝。全国リーディングを快走する厩舎と若手のホープとのコンビは、侮れませんよ」 現在の日本競馬界のトップクラスの面々が集結したとはいえ、波乱ムードが漂う今年の天皇賞・秋。ここに挙げた2頭が、人気馬たちにひと泡吹かせる可能性は大いにある。
土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu