智弁和歌山 速読、詩吟 選手に効果 集中力、心の落ち着き感じ /和歌山
<センバツ2019> 第91回選抜高校野球大会に出場する智弁和歌山では、選手たちが練習の一環として、速読と詩吟にも取り組んでいる。野球とは一見無関係に思えるが、プレーで必要な動体視力を高めたり、心の成長を後押ししたりする狙いがあり、選手たちも効果を感じているようだ。【砂押健太】 速読の講習は2月12日に初めて行われ、同校OBの梶本勝巳さん(48)と、妻理恵さん(42)の夫妻=大分市=が講師を務めた。梶本さん夫妻は、眼球の動きを速くするトレーニングや呼吸法、ストレッチなどを通じて脳内の情報処理能力のアップを目指す「楽読(らくどく)」と呼ばれる速読法のインストラクターで、大分市で教室を開いている。勝巳さんが昨年11月の同校同窓会で、智弁和歌山の藤田清司校長に楽読を紹介したことをきっかけに、藤田校長と中谷仁監督が自ら体験して採用を決めた。 選手たちは、目の高さに上げた自分の両手人さし指や教室内の非常灯などを目印に左右・遠近に素早く視線を動かした。また、視野を広げるため、プリントを上下反転させて文章を読みながら、教壇に立つ勝巳さんの挙手に合わせて手を上げ返すなど四つの動作を同時並行でこなすトレーニングにも励んだ。 受講前に比べて読むスピードが倍になったという湯浅公貴選手(2年)は「何かに集中する時に力まないことの大切さを学んだ」と話した。 2月18日には和歌山名鶯(めいおう)会会長の西本純子さん(66)=海南市=を講師に招き、詩吟の講習があった。高嶋仁監督時代の1990年ごろ、精神修養の一環として取り入れ、2008年からは西本さんを年3、4回招いている。 講習では、全員で校歌を斉唱した後、「少年老いやすく学成りがたし」で知られる漢詩など3本を、西本さんが奏でる電子邦楽器「コンダクター」の音程に合わせ、声をそろえて抑揚を付けながら吟じた。 小林樹斗投手(1年)は「精神統一ができて心が落ち着く。腹から声を出すことですっきりする」と感想を語った。西本さんは「人生の大切さや日常の感動を敏感に感じ取る心の成長にもつながってほしい」と話している。