尊富士「本当に疲れた」幕内最初の物言い&同体取り直しの一番制し無敗守る 風呂後も息整わず
<大相撲初場所>◇3日目◇14日◇東京・両国国技館 初ものずくめで3連勝を飾った。昨年春場所で110年ぶりの新入幕優勝を果たした、西前頭11枚目の尊富士(25=伊勢ケ浜)が、今年の幕内で最初の物言い&同体取り直し、さらには自身初の取り直しの末、無敗を守った。 前頭阿武剋との最初の一番は、右から上手投げを打った尊富士の左腕と、前のめりに倒れながら渡し込みを狙った、阿武剋の右腕が同時に土俵についた。行司軍配は相手だったが「分かるもの」と、負けてはいないと確信。取り直しの一番は、まわしにこだわらず、最後は前に出続けた尊富士が押し出した。 取組後、風呂から上がっても息が整わなかった尊富士は「物言いがついた時点で取り直しだと思った。気持ちを切らさず(取り直しの一番は)先手、先手で取った」と、興奮気味に話した。取り直し初体験だったが「そりゃあ、できればやりたくないッスよ。本当に疲れた」と笑った。 相手は1学年下で、日体大時代に学生横綱となり、幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んだエリートだった。「前みつを引いたら強いし、実力がある。嫌な相手」と警戒していた。自身は日大時代にタイトルとは無縁で、前相撲から番付を駆け上がり、幕内優勝という最高のタイトルを獲得。「誰にも負けたくないし、気合を入れてやった。ここはプロの世界なので」と、アマチュアの実績は無関係とプライドをのぞかせた。 昨年は新十両の初場所から、皆勤した4場所全てが2桁白星で、十両を2度、幕内を1度制した。そんな実績も忘れて「切り替えて一からやるだけ」と力説。貪欲な姿勢で、成長は止まりそうにない。【高田文太】