「帰ったら家あるだろうか」 〝台風銀座〟鹿児島も最大級警戒 台風10号じわり接近、避難所に高齢者ら続々「裏山は崩れないか」
過去最強クラスの勢力に発達した台風10号は28日、広範囲を暴風域に巻き込み、鹿児島県本土にじわりと迫った。29日に最接近する見通しで、「最大級の警戒」を長時間求められる。「自宅に被害は出ないか」「裏山は崩れないか」。県内各地の避難所には住民が続々と身を寄せ、不安を募らせた。 【写真】〈関連〉避難所で不安げな市民=28日、枕崎市日之出町の市健康センター
鹿児島市下竜尾町のたてばば福祉館には、数日分の水や食料を持参した高齢者らが次々と訪れた。「家の裏手が山なので崩れるのが怖い」と明かすのは、吉野町の無職花倉洋子さん(73)。長田町の無職米重勝彦さん(81)は3日分の食料を準備したとはいえ、「自宅の築年数が古く、外壁が壊れないか心配だ」と不安を口にする。 志布志市が志布志庁舎に設けた避難所では住民らがテレビの台風情報を食い入るように見つめた。築100年超という自宅の倒壊を懸念し、27日に自主避難した志布志町安楽の作業員熊原昭夫さん(69)もその一人。「帰った後に家が残っているか、瓦が飛ばされていないか」と気をもむ。 枕崎市は28日午前10時、市内9カ所に避難所を開設した。「台風銀座」と呼ばれ、たびたび被害に遭った土地柄。明るいうちに多くの市民が避難した。 同市日之出町の市健康センターでも開設早々から訪れる市民が見られた。近くの揚村陽子さん(81)は「前日から準備をしていた。一人暮らしなので避難所がいい。強風で自宅の瓦が飛ばされた経験がある。今回は大雨も心配だ」。茶園和代さん(75)は非常用袋を見せながら「パンやおにぎりなど夫婦で2日分の食料を用意した。ライトや折りたたみの座布団も欠かせない」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島