プロサッカー選手としての自覚を胸に――。 17歳でプロ1年目を迎えた佐藤龍之介の変化
長友佑都、森重真人などの日本代表経験者や、パリ五輪を目指す松木玖生やバングーナガンデ佳史扶といった若きタレントに混じり、一人のフットボーラーが新たな一歩を踏み出した。昨年8月に高校2年生でプロ契約を結んだ佐藤龍之介だ。 【フォトギャラリー】FC東京キャンプ風景 FC東京U-15むさしでは10番を背負い、中3次にU-15クラブユース選手権優勝を経験。U-18では1年次から活躍し、昨年11月には日本代表の一員としてU-17ワールドカップを戦うなど、早くから将来を嘱望されてきた。足元の技術はもちろん、豊富な運動量でフリーランからチャンスを作る術は世代屈指。確かな戦術眼の持ち主でもあり、守備のセンスも目覚ましいモノを持つ。的確なポジショニングから状況を見てプレスをかけられる賢さはプロの世界でも通用するレベルにある。 ボランチやサイドハーフでもプレーできるが、トップチームの主戦場はトップ下。高校3年生を迎えるが、レギュラー争いに食い込む実力はある。 そんな佐藤にとって、トップチームのキャンプに参加するのは今回で2度目。昨年はU-18所属ながら抜擢されたが、プロサッカー選手として挑むのは初めてとなる。 9日からスタートした沖縄キャンプでは順調に調整を進めているが、昨季とは心持ちが違うと佐藤は話す。 「去年は良い経験になるという気持ちでいたけど、今年は違う。ポジションを奪っていかないといけないという気持ちがある。去年はメンバーから外れても悔しいという想いはなかったけど、今は悔しいという気持ちがより芽生えているんです」 だからこそ、振る舞いも今までとは違う。先輩であっても遠慮なく意見を交換し、より高いレベルで要求している。そうした振る舞いができるのも、今の自分に自信があるからこそ。そのきっかけになったのが、昨秋のワールドカップ。「ワールドカップでの経験は自分の自信になっている。世界で通用したことはプロの世界でも通じるモノ。それを持って、自分のモノにしていきたい」と話したように、世界の強豪国と4試合戦えた経験は自分の財産になっている。 特にグループステージ第2戦のアルゼンチン戦(1-3)の経験は今でも脳裏に焼き付いているという。 「あの強度はまたプロの世界とは違うけど、今までに味わったことがないモノがあった。今も忘れていないし、あれが世界のスタンダードだし、トップレベル。あれを自分の日常に還元させていきたい」 初戦を落とした南米の雄は死に物狂いで日本を倒しにきた。迫力は異次元で、同じ競技とは思えないほどの凄まじさがあったが、ワールドクラスのインテンシティーを経験したことが佐藤に与えた影響は大きい。 17歳だが、恐れるモノはない。本気でレギュラーポジションを掴みにいく佐藤の目は野心に溢れている。キャンプでクラモフスキー監督の信頼を勝ち取れるか。世界での経験を武器に、自らの可能性を広げていくつもりだ。 (文・写真=松尾祐希)