<センバツ>決勝3ランの東邦・吉納 わずかなほころび逃さず 好投の中森を見事に攻略
二塁走者の生還は許さないと浅く守っていた中堅手が、懸命に背走するはるか頭上を高く舞い上がった打球が越えていく。0―0の七回2死一、二塁、東邦の7番・吉納が放った中越え決勝3ラン。均衡を破る殊勲の一打に、吉納は力強いガッツポーズで喜びを表した。 【3ランを浴び打球を見送る明石商のエース中森】 明石商先発の2年生右腕・中森の伸びのある直球に手を焼き、準々決勝までの3試合で38安打を放った強力打線が六回までわずか3安打。得意の機動力さえ封じられ、攻略の糸口が見えなかった。 だが、2日前の準々決勝までの3試合で370球を投げた中森に疲れが出たのか、七回は2四死球とわずかに制球が乱れ始めた。そのわずかなほころびを逃さなかった吉納の見事な一打だった。 力みがあったため楽に打たそうと、吉納を準々決勝の5番から7番に下げた森田監督は「(吉納は)この冬に伸びた選手。本当によく打ってくれた」と笑顔。吉納も「入ってくれてうれしい。チームに勢いをつけられた」と満足顔だった。 平成最初のセンバツ覇者が、平成最後の大会でも王手を掛けた。決勝の相手は習志野。東邦であけた平成の春は、果たして東邦で終わるのか。【新井隆一】