大ヒット薬「オゼンピック」メーカーの悩み、社員がストレス過多
(ブルームバーグ): デンマークの医薬品メーカー、ノボ・ノルディスクはダイエット効果のある新世代薬で大ヒットを飛ばしているが、社員はストレス過多で疲弊している。同社最高経営責任者(CEO)の悩みだ。
ノボは世界的な注目を浴びている2型糖尿病治療薬「オゼンピック」と肥満症治療薬「ウゴービ」から最大限の収益を得るべく、事業活動を行っている。同社が社員を対象に実施した調査によると、全体の14%が昨年、ストレス症状を報告していた。ラース・フルアーガー・ヨルゲンセンCEOにとって、これは高過ぎる数字だ。
「従業員の10%超がストレスに悩んでいる状況で企業経営はできない」。ヨルゲンセンCEOは21日の年次株主総会で語った。
ワークライフバランスはノボの企業文化の重要な部分だ。就業時間は柔軟で、7月には多くの社員がバケーションを楽しむ。
ノボの従業員がストレスにさらされている理由はいくつかある。ノボの親会社ノボ・ホールディングスは2月上旬、医薬品受託製造の米キャタレントを買収すると発表。オゼンピックとウゴービの需要急増に対応するため、キャタレントが持つ製造工場3カ所を取得する。
競合する米医薬品メーカー、イーライリリーはウゴービに対抗して独自の肥満症治療薬を販売。ノボは従業員数をかつてないハイペースで増やしている。
ヨルゲンセンCEOは「ノボのリーダーになり、その役割を果たし続けるには、社員のストレスレベルを高くない状態にして事業運営をしなければならない」と述べた。
ヨルゲンセン氏自身は、テニスのウィンブルドン選手権(全英オープン)を昨年観戦したり、自宅近くの湖で定期的にカヤックを楽しむなど、リラックスする時間を取っている。同社はさらに、ストレス症状を訴える従業員の割合が減少するよう「積極的に」ウェルビーイングに取り組み続けると説明した。
同社の昨年の離職率は5.5%と、2022年の8.2%から低下した。