<センバツ・ここに注目>選手紹介/5 予想を超える成長曲線 榎谷礼央投手(山梨学院・2年)
しなやかな腕の振りから繰り出す直球は試合を重ねる度に最速を更新し、昨秋の関東大会準決勝で144キロまでたどり着いた。投球フォームの改造が成功し、制球、球威とも格段にレベルアップ。「特にカットボールの切れ味が増し、空振りが取れるようになった」と自信を深める。 吉田洸二監督(52)は入学直後の榎谷について「投手としての潜在能力は感じていた」と振り返る。投球フォームに柔らかさがあり、指揮官の目に「投手らしい投手」と映ったからだ。 ただ、当時は130キロ超えがやっと。1年時は別の投手が先に頭角を現していただけに「才能が開花するのはもう少し先になる。大学かもしれない」と感じた。そんな指揮官の予想を超える成長曲線を描き、今やチームの絶対的なエースに君臨する。 5連覇を狙った昨夏の山梨県大会は準決勝で敗退し、2年生エースとして先輩の夏を終わらせた責任を感じた。悔しさを胸に、昨秋の公式戦は県大会から全9試合に登板。先発にリリーフとフル回転で抜群の安定感を見せ、関東大会準優勝に貢献した。 祖父・鈴木詔彦さん、父・優史さんも浜松商(静岡)で甲子園に出場した経験があり、家族3世代出場を達成することになる。「試合が待ち遠しくて仕方ない。甲子園では、自分の全てを見てもらいたい」 堂々とした口調で語る右腕の活躍こそ、チームが見据える「全国制覇」への道しるべになる。【川村咲平】=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ■人物略歴 ◇榎谷礼央(えのきや・れお)さん 浜松市出身。小学2年から野球を始め、中学時代は浜松シニアに所属。高校は2年春から背番号1。尊敬するプロ野球選手は、元広島の今村猛さん。