『節分で追い出された鬼はどこへ行く?』鬼たちのその後を描く、福知山発の絵本
コロカルニュース
■節分の掛け声は「鬼は内、福は外」。鬼にゆかりの深い京都府福知山市 2月3日の節分といえば「鬼は外、福は内」の掛け声と共に、豆まきをする習わしがありますが、一風変わった掛け声の地域があります。鬼とゆかりの深い京都府福知山市の、三和地域にある「大原神社」の節分祭のかけ声は「鬼は内、福は外」です。巷にある悪いものを神社で清めたうえで(=鬼は内)、村に福をお返しする(=福は外)一風変わった節分祭になっています。鬼がお多福に変わる演出は地元の有志により演じられ、いまもなお地元のひとたちに愛されている恒例行事です。 【写真で見る】まちおこしプロジェクト「ONIversal(オニバーサル) city project」 また、福知山市にある大江山には、平安時代中期の武将・源頼光が、「頼光四天王」と呼ばれる屈強な家臣らを従え丹波国⼤江⼭へ向かい、酒吞童子(しゅてんどうじ)率いる鬼の一味を討伐(鬼退治)するという伝説が伝わっています。大江山は2007年に「丹後天橋立大江山国定公園」に指定されました。毎秋、酒呑童子伝説と大江山をテーマとした「大江山酒呑童子祭り」も開催(2023年は台風災害のため中止)されています。 さらに丹後天橋立大江山国立公園の中にある「元伊勢内宮皇大神社」の節分祭では、豆まきを行い、人に災いをもたらす三鬼(病鬼・陰鬼・貧鬼)を神前に追い込み、お祓いをして病鬼を元気に、陰鬼を陽気に、貧鬼を富貴のお多福に変身させます。 一方福知山市北部の大江地域では昭和以降、大江山の鬼伝説がまちおこしに使われるようになりました。大江駅前には72枚の鬼瓦があり、大江山までの道中には13体の鬼像が佇むなど、さまざまな場所に自然と鬼が共存しています。 令和になったいまも、福知山市は鬼伝説をモチーフにしたPR動画やポスター、鬼ラッピングのタクシーなどさまざまな鬼コンテンツを企画し、「鬼のまちづくり」をすすめています。 コロナ禍では2月2日の「鬼鬼の日」に、市役所大江支所職員や地域で働く人々が “鬼のまち”をポップに楽しくアピールしようと、すすんで鬼マスクや角を装着し、そのシュールな姿が一部で話題になりました。 ■“妖怪博士ちゃん” 関本創さんと“鬼のまち”福知山がコラボレーション “鬼”に親しむ文化がある福知山市では、「鬼もヒトもみんなでワクワク楽しみながら、福知山市を盛り上げていこう!」という想いを込めて「Universal(ユニバーサル すべての人の)」を語源にする“ONIversal”(オニバーサル)という造語をつくり、まちおこしプロジェクト「ONIversal city project」を始動させています。鬼とヒトが共生できる“ONIversalデザイン”なまちを目指し、福知山市民や鬼に詳しい人々と共にさまざまなコンテンツを発信しています。今年の節分には、豆を投げるのではなく一緒に食べてハッピーになれる“鬼とヒトが仲良くなれる豆のお菓子”を開発しました。 そんな「ONIversal city project」の第3弾として制作されたのが、豆まき後の鬼たちを描いた『節分で追い出された鬼はどこへ行く?』です。“妖怪博士ちゃん”としてテレビ番組などにも出演し妖怪探究家として活躍するほか、これまで7冊もの妖怪本を執筆してきた中学3年生の関本創さんが文と絵を手がけ、世界鬼学会会長であり、佛教大学歴史学部教授の八木透さんが監修しています。 ■『節分で追い出された鬼はどこへ行く?』 『節分で追い出された鬼はどこへ行く?』は、季節行事として親しまれる節分の豆まきを題材としつつ、「鬼は外」の掛け声とともに各家庭から追い出された鬼たちはその後どうしているのかを描いています。福知山市の大江山に集まる鬼たちの知られざる想いやユーモア溢れる掛け合い、節分の豆まきがもつ意味を、関本さんがかわいいイラストで届けています。 ストーリーはとある節分の日から始まります。ひとりの子鬼が家の人から豆をぶつけられ、家を飛び出していきました。