『箱男』©︎2024 The Box Man Film Partners

　2024年に全国公開される石井岳龍監督最新作『箱男』の追加キャストとして、渋川清彦、中村優子、川瀬陽太の出演が発表された。 【写真】『パンク侍、斬られて候』刀を抜く綾野剛 　安部公房が1973年に発表した、「人間が自己の存在証明を放棄した先にあるものとは何か？」をテーマとした同名小説を映画化する本作。ヨーロッパやハリウッドの映画監督が原作権の取得を試みたが、許諾が下りず、企画が立ち上がっては消えるなどを繰り返していた本作の映画化を安部本人から直接託されたのは、『狂い咲きサンダーロード』『蜜のあわれ』『パンク侍、切られて候』などの石井。本作の映像化をどうしてもやりたいと構想していたという石井は、安部からの「娯楽にしてくれ」というリクエストのもと、1997年に製作が決定。石井は万全の準備を期し、ドイツ・ハンブルグで撮影を行うべく現地へ。ところが不運にもクランクイン前日に、撮影が突如頓挫、撮影クルーやキャストはそのまま帰国することとなり、幻の企画となった。 　それから27年。奇しくも安部の生誕100年にあたる2024年、映画化を諦めなかった石井監督は遂に『箱男』を実現させた。主演は、27年前と同じ永瀬正敏。同じく永瀬と共に出演予定だった佐藤浩市のほか、浅野忠信、数百人のオーディションで抜擢された白本彩奈らが顔を揃えた。 　新たに出演が発表された渋川は箱男を付け狙うワッペン乞食役に、中村は“わたし”の取り調べを行う刑事役、川瀬はその上司の刑事役をそれぞれ演じる。 　第74回ベルリン国際映画祭のBerlinale Special部門に正式招待されることが決定している本作。あわせて、箱の中からペイントをした男が覗いている姿が描かれたベルリン国際映画祭版ポスターも公開された。