iDeCo12月の新規加入者3.5万人で11カ月連続前年同期比割れ、社会保障審議会で制度改定議論続く
国民年金基金連合会が2月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると2023年12月の新規加入者数は3万5087人で加入者総数は317万3897人になった。12月の新規加入者数は前年同月比でマイナス32.7%減となった。新規加入者数は、2023年2月から11カ月連続で前年同月比割れになっている。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(イデコプラス:中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は7059事業所、対象従業員数は4万5063人になった。
12月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は4484人(前月4182人)、第2号加入者は2万8717人(前月2万4393人)、第3号加入者は1554人(前月1326人)となった。第2号加入者の中で、企業年金なしの新規加入者が1万6711人(前月1万4541人)。「企業年金あり」が6320人(前月5390人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は5686人(前月4462人)となった。
iDeCoの新規加入者数の減少が続いている。12月の実績では、第1号加入者が前年同月比で8.4%増と前年同月で唯一のプラスになったものの、それ以外の加入者は前年同月実績を2ケタで下回っている。特に、加入者の中心である第2号加入者が前年同月比で37.4%減と大きく低迷していることが大きい。
iDeCoについては、「資産所得倍増プラン」や「安定的な資産形成の支援に関する基本方針」などにおいて、新しいNISA(少額投資非課税制度)とともに、国民の資産形成をサポートする重要な制度の1つに位置付けられている。国民の安定的な資産形成の支援に資する制度の整備として「拠出限度額の引上げ、加入可能年齢の引上げ等を検討」とされており、今年1月29日に開催された社会保障審議会(企業年金・個人年金部会)でも「iDeCoの加入年齢の引き上げについて」が議題になった。基本的な方針として「iDeCoの加入可能年齢について、就業機会確保の努力義務が70歳まで伸びていること等を踏まえ、70歳まで引き上げることとする」という方向性が示されている。現行の制度では、企業型DC・DBが原則70歳まで加入可能であるのに対し、iDeCoは第2号加入者が原則65歳、第1号加入者は60歳までしか加入できないため、働き方を含めたライフコースが多様化する中で、私的年金の活用について働き方で格差がある点を解消しようとする動きだ。
今後は、拠出限度額の引き上げについても検討がなされると考えられるが、これらの議論を通じて、制度の普及促進につながるような動きがでてくることを期待したい。(グラフは、iDeCo新規加入者数の推移)
ウエルスアドバイザー