岩石研究を極め…南極観測隊に参加の倉敷市出身・森祐紀さん 同じ道を目指す子供たちにメッセージ【岡山】
岡山放送
2023年12月から約2カ月間、南極に滞在した南極観測隊の研究者の中に倉敷市出身の男性がいます。地球の歴史をひも解く研究・・・男性に、今後の夢を聞きました。 (高輝度光科学研究センター 森祐紀さん) 「「あっ、見たことがある石がある」というのが率直な感想。本当は景色だと思うが、私の場合は、「今まで自分が研究していた石がここにあるんだ」と、石に目が行ってしまった」 南極大陸に降り立った感想をこう話すのは倉敷市出身で兵庫県佐用町にある高輝度光科学研究センターの森祐紀さん(32)です。 森さんは、第65次南極観測隊に参加し、2023年12月20日から約50日間、南極に滞在しました。ほとんどの隊員は昭和基地を拠点に、研究・調査を行いますが、森さんたち岩石調査チーム4人は昭和基地周辺にテントを張り、日々、ハンマーを手に試料採取に明け暮れました。 (森祐紀さん) 「南極大陸は広いが、約97%が氷だと言われている。残りの3%、特に沿岸部は石が広大に突出しているので、そういうところで調査した」 「昭和基地の周辺は元々インド・スリランカなど、今はかなり離れた大陸とつながっていた。そういったところとのつながりは、はっきりと分かるサンプルが昭和基地周辺では取れる」 森さんの専門は、熱や圧力によって、岩石の性質が変わってできた「変成岩」。過去の情報が刻まれた岩石から地球の歴史を解明する研究を続けています。 (森祐紀さん) 「ガーネットが入っているとその周りの鉱物との化学組成の関係で、石が地球のどこまで深いところに沈み込んだか、どれぐらい熱を受けたか温度・圧力が分かる」 日本の観測隊史上最多の26地点を回り、このうち半分の13地点は初めて調査を行いました。森さん1人で約1トン分の岩石を採取し、帰国してから、分析に取り掛かっています。 (森祐紀さん) 「どうしても雪で遮られているので、本当にこことここがつながっているのか、検証するのは難しい。その間の場所を調べることができるとパズルを埋めていく感じでつながりを見ていくことができる。5億年、10億年前の地球の姿を明らかにすることができる点で貴重なサンプル」 南極観測隊に参加すると「お土産」で唯一、もらえるものがあると言います。 (森祐紀さん) 「南極の氷です」 南極の氷は数万年前に積もった雪が長い間に圧縮されて氷となったもので、溶けてくると・・・「(氷が溶ける様子)パチパチパチ」閉じ込められていた空気がはじけます。 岩石調査は地球の歴史をひも解く宝探しと話す森さん。将来、研究者を目指す子供たちに伝えたいメッセージがあります。 (森祐紀さん) 「小学生のころから石が好きで、大学で研究して、最後には南極まで行った。好きなこと、興味あることをどんどん深堀りしていくと他の人に負けない、自分だけの取りえ、専門分野が身につくので、どんどん挑戦して深堀りしていってほしい」
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