被災地支援の経験 今後に 職員派遣 国交省機関や自治体が報告会【長野県】
能登半島地震の被災地で支援活動に従事した国交省機関や自治体による報告会が18日、長野県松川町中央公民館であった。緊急災害対策派遣隊(テックフォース)として活動した天竜川上流河川事務所や飯田国道事務所、職員を派遣した飯田市などが活動内容や教訓を発表し合い、今後の地域防災や被災地支援について考えた。 天上事務所と飯国事務所が主催し、国交省4事務所と南信地区の市町村、関連団体の関係者ら約170人が参加。天上事務所と飯国事務所、飯田市、伊那市、県南部防災対策協議会、南信防災情報協議会の6者が報告した。 天上事務所は砂防調査班として職員を派遣し、土砂崩れや地すべりの発生状況の調査、砂防施設の確認などを行った。被災地では携帯電話の通信がつながらなかったことから「便利なツールが現地では使えないことも想定しなければならない」と伝えた。 飯国事務所は道路や橋りょうの被災状況を調査。断水や停電が続く被災地での活動では、同行したトイレ支援車と宿泊可能な待機支援車が有効だったと振り返った。 飯田市は給水支援のため職員を派遣し、避難所や福祉施設への補水に従事。活動した職員は「病院や避難所など重要施設への管路や基幹管路の耐震化が必要だと改めて感じた」と語った。 建設会社などでつくる県南部防対協はテックフォースの後方支援などのため会員を派遣。避難所の発電機への燃料給油を担当した建設会社社員は、電柱やマンホールの崩壊により目的地へのアクセスが困難だった箇所が多かったことから、電柱の地中化やマンホールの車道外設置を提案した。 南信防情協はドローンを使って天上事務所の砂防調査に協力。インターネットの使用不可により作業時に地図が表示できないことがあったといい「地図など必要な情報の事前ダウンロードが必要だった」と振り返った。 報告会は各機関が情報共有することで災害対応力強化につなげる目的で開催。天上事務所の吉田桂治所長は「この地域もいつ被災するか分からない。今日の報告を各機関が持ち帰って防災対策の見直しに生かしてもらえたら」と語った。