彩乃かなみ×市毛良枝が語る「星の王子さま」の不思議な魅力
音楽×朗読で名作を届けるSong Storytelling in BAROOMシリーズの最新作「星の王子さま Le Petit Prince ~きみとぼく~」が3月15日より上演される。昨年1~2月の第一弾の再演となるが、前回に続いて最終日にトリを務めるのは彩乃かなみ(王子)と市毛良枝(飛行士)。2月下旬、久々の読み合わせを行なった2人が再演に向けた思いを語ってくれた。 【全ての写真】「星の王子さま Le Petit Prince ~きみとぼく~」最終日のトリを務める彩乃かなみと市毛良枝 ――およそ1年ぶりの再演となりますが、初演の経験を改めてふり返っていかがでしたか? 市毛 幸せだったよね? 上演中からお客さんの反応がすごかったです。昼と夜で全然違ったし、お客さんに動かされるところもありました。 彩乃 すごく没入感がある会場で、このストーリー自体が包まれるような感覚がありますが、小さな円形の劇場に本当に包まれるような感じ。舟でも宇宙船でもないんだけど…優しい乗り物に乗って旅をしているような感覚でした。 市毛 お客さまの目がキラキラと光って、星に見えたりするんですよね。(物語上の展開で)空を見上げて星を見つめようとするとお客さまの顔が見えてくるような。 彩乃 「巡っている」という感覚がすごくありました。 市毛 本当に不思議な作品よね。 彩乃 物語は知っていましたけど、役者として「星の王子さま」に携わるのは初めてで、読めば読むほど奥深いんですよね。私自身、わからないことが多いからこそ宇宙の真理とかそういうものが大好きなんですけど、まさに答えが『これです』と明確に伝えきれない部分もある物語だと思うんですが、お客さまから「なんか涙が出てしまいました」という感想をいただいて。 市毛 かなり早い段階で泣いてるお客さまがわりといましたよね。そこにまた私たちが泣かされるという(笑)。 彩乃 「ここが泣きのシーンです」というのじゃなく、自然と心が開いたり、動かされるんだなと改めて物語の威力を感じました。 市毛 大人になればなるほど深く刺さるんでしょうね。 ――計6組12名が出演されますが、それぞれ1日(昼夜2回)だけの登場という形式にも“巡り合わせ”を感じさせられます。 彩乃 前回の他の方たちの公演を参考資料として見させていただいたんですけど、冒頭の歌だけでも、同じセットで同じ歌詞なのに「どうしてこんなに!?」と驚くほど違うんですよ。 市毛 私も前回、稽古に来た時に別の組の声が聞こえてきたんですけど「そこをそういう解釈で言うんだ?」ってびっくりしました。だからって真似することはできないから、自分の中を通して表現するしかないんですけど。 ――再演ということで、また初演とはまた違ったものになりそうな予感はありますか? 彩乃 今日、久しぶりに読み合わせをさせていただいて、また違う扉からこの作品を見ることができるんだなとやっている側として感じました。 市毛 前回も本番になって彩乃さんが急に振り切って「おぉ、そういうふうになるんだ!」という瞬間があったのよ。 彩乃 本当ですか(笑)? 自分ではあまり意識してなかったですけど…。 市毛 稽古ではそれほどじゃなかったのに、本番になったら「全開じゃないの!」って(笑)。でも、それがすごくチャーミングでした。 彩乃 音楽も寄り添うような楽曲で、市毛さんの歌声も優しくて素敵なんです。 市毛 まさか人前で歌うことになるなんて…(苦笑)。普段、カラオケでも歌わないのにね。初演の時「歌は無理」と言ったら、演出の小見山(佳典)さんが「歌わなくていい」って言ったんですよ。「歌わなくてもできるようにするのが僕の仕事です」って。なのに、なぜかこんなことに…。お客さんから「歌が覚えやすくて帰りに口ずさんで帰りました」って言っていただいて嬉しい反面、私にとっては「そんなに簡単じゃないんだけど」と思いつつ(笑)。 音楽と朗読、そして観客が作る空気がどんな物語を紡ぎ出すのか、楽しみに待ちたい。 取材・文:黒豆直樹 <公演情報> Song Storytelling in BAROOM「星の王子さま Le Petit Prince ~きみとぼく~」 公演日程: 2024年3月15日(金) 14:00開演|19:00開演 2024年3月16日(土) 14:00開演|19:00開演 2024年3月17日(日) 14:00開演|19:00開演 2024年3月22日(金) 14:00開演|19:00開演 2024年3月23日(土) 14:00開演|19:00開演 2024年3月24日(日) 14:00開演|19:00開演 ※開場時間は開演45分前 ※公演時間:90分見込み(休憩なし) 会場:BAROOM | バルーム