不透明なビジネスはお断り 個人が中古車を企業に販売する「ネット市場」は今後拡大するのか
新ビジネスの形「C2B」
新たなビジネスの形である、「C2B」による中古車オンラインマーケットプレイスをご存じだろうか。C2Bは、CtoBとも表されるように「Consumer to Business」の略であり、一般消費者が企業をターゲットとして商品やサービスを提供するビジネスモデルをいう。 【画像】えっ…! これが60年前の「海老名サービスエリア」です(計15枚) ・企業が一般消費者をターゲットとする「B2C」 ・企業間同士のビジネスである「B2B」 は、これまで一般的な取引形態であった。しかし、近年になってオンラインマーケットの普及により、一般消費者の誰もが簡単にビジネスを行えるようになったことが背景にある。 C2Bのビジネスモデルは、画像や文章、あるいは写真や動画といったクリエーティブな領域のサービス提供手段と思われがちであるが、今はそうではない。自動車ユーザーが車を手放すときに、中古車オンラインマーケットプレイスを利用すれば、それは立派なC2Bの取引となる。 これまでであれば、自家用車の売却手段は、 ・ディーラー ・中古車買い取り/販売事業者 ・友人や知人 に限られていたが、中古車オンラインマーケットプレイスの登場により、新たな選択肢が生まれたのは重要な意味がある。 というのも、自動車に限らず中古物品の買い取り価格は一応相場があるものの、その取引内容については 「いいなり」 「ブラックボックス」 といってもいい。売る側からすると、オンラインマーケットプレイスにより、 ・ブラックボックス化された部分の透明化が図れ、買い取り価格を自ら確認できる ・営業マンとの連絡や日程調整の手間が削減できる ・そもそも買い取り店舗が少ないという地理的制約から解放される ・買い取り事業者の中間マージン相当額を販売価格に上乗せできるため、車を高く売れる ことが期待できる。
中古車市場の現状
日本における中古車市場は、現時点では活況を呈している。日本自動車販売協会連合会による中古車の新規・移転・変更登録台数(普通乗用車・小型乗用車)によると、 ・2019年:337.1万台 ・2020年:334.3万台 ・2021年:324.6万台 ・2022年:303.9万台 ・2023年:310.4万台 と、ここしばらくは中古車の品薄により登録台数が減少傾向にある。一方で「中古車購入実態調査2023」(リクルート調べ)によると、2023年の中古車市場規模は、3兆9062億円と推計され、前年より 「3484億円増加」 するとともに、調査開始以降拡大傾向にある。また、中古車購入単価も172.1万円と前年より15.5万円増加している。 半導体不足による新車の生産台数が減少し中古車が品薄になったことが、中古車の登録台数の減少および中古車価格の上昇につながっている。2023年以降は、新車の生産が回復したものの、中古車価格の水準は依然として高いままである。 このようななか、C2Bによる中古車オンラインマーケットプレイスを通じた取引のボリュームはどのくらいなのだろうか。正確な統計数値は手元にないものの、楽天Car車買取のホームページで3月の買い取り実績を調べると 「約500台」 となった。中古車販売台数は年間を通じてでは3月が最も多いことから、年間の買い取り実績を推定すると最大で6000台となる。 もちろん、ユーカーパックといった他社もあるが、年間の中古車の新規・移転・変更登録台数約300万台からすると、C2Bによる中古車オンラインマーケットプレイスは 「まだまだニッチな領域」 といえよう。