干潮時に出現 1億8000万年前ジュラ紀「化石の森」が広がるキュリオ・ベイ
機内での食事を済ませ、入国審査カードを記入しようとペンを取った。書き進めると持ち込み物のチェック項目がいつもより細かいことが気になった。 動物性でもない加工食品から、土が付着していそうなシューズ、キャンプ、ゴルフ用品など。機内でも提供された食品は持参せず機内に残しておいてくださいとのアナウンス。牧畜国だからか検疫が厳しいのかと思ったが、そのためだけではなさそうだ。 ニュージーランド、とくに野生の動物が多く見られる南島のオタゴ、サウスランド地方に向かった。
「南半球のエディンバラ」と言われ、スコットランドの移民によって開拓されたダニーデンから車で2時間ほど南にあるキュリオ・ベイにやってきた。普段は静かな海岸線だが、干潮時に木の切り株や倒木が化石となった岩場が姿を表す。 ここは「化石の森」と言われている。1億8000万年前のジュラ紀の森林が、火山噴火の火山灰によって焼け、泥流に埋没し、化石化していったという。まるで岩を彫刻したかのような切り株や倒木の形をした岩場が広がっていた。 世界的にも珍しく貴重な化石群。特別な保護地区ではないが、ここにも夕方になるとイエローアイド・ペンギンが巣に帰ってくる姿を見ることができるという。化石となった太古の森に戻ってくる野生動物とはなんとも幻想的な光景である。 (2017年6月撮影・文:倉谷清文) ※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<野生動物との共存ニュージーランド> 倉谷清文第6回」の一部を抜粋しました。