「不良債権」を処理できなければ次に進めない中国経済
ジャーナリストの須田慎一郎が3月4日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。3月5日に開幕する全人代について解説した。 【写真】中国不動産開発大手、中国恒大集団のビル
中国全人代が3月5日に開幕
中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)が3月5日に北京で開幕する。中国では不動産不況の長期化で景気低迷が続いており、経済回復に向けた道筋を打ち出すことができるかが注目される。 飯田)年に1度行われる全人代ですが、今回は李強首相が初めて政府活動報告を行う予定です。 須田)毎度そうなのでしょうが、以前以上に厳戒態勢で大変なことになっています。
次のテーマを探す前に、抱えている不良債権処理ができるのかどうか
須田)今回の全人代における最大のポイントは、「景気回復が実現できるかどうか」だと思います。これまで中国の経済成長の原動力は不動産開発でした。ところが、もはやバブルが崩壊した状況にあり、「次はどうやって経済を成長させるか」というテーマを探す必要がある。しかし、その前にやらなくてはならないことがあります。中国の国営、民営もそうですが、銀行が抱えている不良債権。そして地方政府が抱える不良債権。それを処理できるかどうかが問題です。やらないまま次のテーマを見つけて経済成長を促しても、実現できません。 飯田)不良債権を処理できるかどうか。 須田)金融ネットワークが目詰まりしている状況ですから、必要なところに必要なお金が流れていかないのです。必要なお金を調達できず、不良債権処理が重くのしかかっているのですが、果たしてそれを「どの程度、認識しているのか」がまったく見えません。
処理しきれずに不良債権を先送りしている状況
飯田)中央も地方も、利権が絡んでいるから処理しづらいのでしょうか? 須田)1991年1月に日本のバブルが崩壊したあと、中国は「バブル崩壊を徹底的に研究・検証した」と言われています。しかし、結果的にいまの状態は「何も検証していないではないか」と。つまり、不良債権を先送りにしているのです。ただ、これを全部処理しようとすると、あまりにも痛みが激しい。流れ出る血液が多いので、外科手術をしたくてもできない状況なのだと思います。