主力選手が続々と米移籍 日本球界の“空洞化”に懸念も…メジャーが次に狙う選手の“実名”とは
プレミア12にも多数訪れていたメジャーのスカウト陣
「メジャーのスカウトは、日本以上にデータを重視しており、有力な選手については、ある程度、データを把握しているようです。評価されやすい投手は、多くのイニングを投げられることですね。小笠原慎之介は、通算成績で46勝65敗と負け越していますが、4年続けて規定投球回数をクリアしている。この点は大きいです。また、国際大会での活躍も評価されやすい。山本由伸(ドジャース)や今永昇太(カブス)が大型契約を結んだのも、2023年のWBC(ワールド・ベースボールクラシック)で活躍した点が影響したようです。(2024年11月に開催された)プレミア12にもメジャーのスカウト陣が多く視察していました」 侍ジャパンが優勝を果たした2023年のWBCでは、準決勝で山本がロングリリーフ、決勝では今永が先発で好投。いずれも勝利に大きく貢献した。日本球界の実績に加えて、国際舞台での好投が契約面でプラスに繋がったといえるだろう。 「長いイニングを投げられて、国際大会で結果を残している投手となれば、やはり、戸郷翔征(巨人)と伊藤大海(日本ハム)の注目度が高いようです。彼らは、4年連続で規定投球回数をクリアしており、チームの先発の柱として十分な成績を残しています。WBCではともにリリーフでの登板でしたが、しっかりと結果を残しました。メジャーの球団にアピールするだけの材料は揃っていると言えるでしょう。巨人は、これまで基本的にポスティングシステムでのメジャー移籍を認めていませんでしたが、(2024年12月19日に)亡くなった渡辺恒雄元オーナーの意向が強かったと言われています。今後、方針転換も十分に考えられるでしょう。それ以外では、戸郷と伊藤の実績に及びませんが、高橋宏斗(中日)はWBC、才木浩人(阪神)はプレミア12で好投しました。今後、確実に名前が挙がってくることになると思います」(前出の編成担当者)
ジュニア世代の良い刺激に
実際、才木は今オフの契約更改で将来的なメジャー希望を口にしている。国際大会で実際にプレーすることで、メジャーへの意識が強くなる選手も多いと言われており、そういう意味では、ここで名前の挙がった選手が、次のオフ以降に主役となる可能性は高い。 主力選手が続々とメジャーに移籍することに対して、「日本球界の空洞化」を懸念する声も聞かれるが、メジャーで活躍する日本人選手が増えることは現役選手だけでなく、ジュニア世代に対して良い刺激となる。今後も日本球界から、メジャー球団から“垂涎の的”となる選手が続々と登場してくることを期待したい。 西尾典文(にしお・のりふみ) 野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。 デイリー新潮編集部
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