豪雨被災の小鹿田焼窯元、絶望から希望へ 「伝統を守りたい」廃業の危機から復興
特別警報も発表された去年7月の豪雨で、大分県日田市にある小鹿田焼の産地は甚大な被害を受けました。廃業の危機に立たされながらも器づくりと向き合う窯元のこの1年を追いました。 【写真を見る】豪雨被災の小鹿田焼窯元、絶望から希望へ 「伝統を守りたい」廃業の危機から復興 ■小鹿田焼9軒すべての窯元被災 日田市皿山地区で300年の歴史を持つ小鹿田焼の窯元、柳瀬裕之さん(51)。6代目当主として日々、伝統を守り続けています。 柳瀬さん: 「毎年毎年雨と考えると、今でも気分的に不安なところもある」 去年7月、大分と福岡は記録的豪雨に見舞われ、小鹿田焼をつくる9軒すべての窯元が被災しました。 このうち、柳瀬さんは焼き物づくりに欠かせない土を砕くための唐臼を流失。さらに土砂崩れによって燃料となる薪も流され、最も大きな被害を受けました。 柳瀬さん: 「薪小屋の被害を見たときはこのまま焼き物が続けられるのか、その時はちょっと絶望的だった」 当時の状況を絶望的と振り返る柳瀬さん。そこから立ち上がるきっかけとなったのは、地元の仲間やボランティアたちの支えでした。 流失した唐臼は、同じ集落の大工が急ピッチで復旧にあたり、柳瀬さんのもとへ届けられました。また、土砂崩れが起きた薪小屋には災害ボランティアが駆けつけ、薪の確保もできるように。こうして周りの助けを得ながら柳瀬さんは一歩ずつ、日常を取り戻してきました。 柳瀬さん: 「薪の確保も全部できるようになったので、うちが焼ければ復興とまではいかないですけど、一区切りできる」 ■体力の続く限り伝統守る 水害から5か月たった去年12月、柳瀬さんは被災後初めて仕上げとなる窯焼きを迎えました。思いを込めて、薪をくべます。 廃業の危機と向き合いながら手がけた器の数々。ようやく報われる時がやってきました。 柳瀬さん: 「満足いく出来ですね。よう焼けてる」 仲間の窯元と喜びを分かち合いました。 小鹿田焼技術保存会 坂本浩二会長:「スタートになったね」 柳瀬さん:「やっとです」 今後、自然災害に翻ろうされようとも難局を乗り越えた経験を糧に、伝統を守り抜く覚悟です。
柳瀬さん: 「今年は今まで順調にきています。雨でこのあとどうなるかまだちょっとわかりませんけど、小鹿田の伝統を体力の続く限りは頑張っていこうかなと思う」
大分放送