安倍なつみ「自己肯定感がものすごく低い人間なんです」モー娘。時代を振り返る
モーニング娘。の初期メンバーとして活躍し、現在では3児の母となった安倍なつみ。映画「パウ・パトロール ザ・ムービー」で吹き替え声優を務めたリバティ役を、12月15日(金)公開のシリーズ最新作「パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー」で2年ぶりに演じる。 【写真】安倍なつみが演じるリバティ(写真右端) WEBザテレビジョンのインタビューでは、役柄への思いや作品の見どころを聞くと共に、およそ6年ぶりのステージ出演が話題となった11月28日のモーニング娘。'23コンサートツアー秋「Neverending Shine Show」SPECIAL出演前の心境も語ってもらった。 ■テンションの高さを意識 ――前作から2年ぶりにリバティを演じることとなりましたが、お話を聞いた時の心境はいかがでしたか? まず、今作にもリバティが登場するということがうれしかったです。今回はリバティが他のキャラクターとどう関わるのかが楽しみでした。少しの登場なのかなと思っていたら、とても活躍していたので「すごいじゃんリバティ!」と驚きました(笑)。 ――リバティを演じる上で、安倍さんが意識することとは? テンションの高さは意識しています。特に、今回登場するジュニアパトローラーズのナノ、ミニ、プチを鍛え上げるシーンは、いつも以上にスイッチが入りました(笑)。 ■日々の子育ては学びがたくさんある ――今作の印象を聞かせてください。 前作よりも全体的にバージョンアップしているように感じました。リバティに対するケントの接し方もすごく大人びて見えましたね。今作でのケントの「まず肯定してから本題に入る」という伝え方は、私も勉強になりました。 ストーリーもスケールアップしていて、隕石に立ち向かう場面では大人が見ても胸を打たれるような展開です。1本の作品から多くの学びがあるので、早く子どもたちにも見てもらいたいです。 ――リバティが3匹のジュニアパトローラーズと過ごすシーンは、「子守りは得意じゃない」と言いつつもスパルタ教育気味のリバティがほほ笑ましかったです。安倍さんも3人のお子さんがいらっしゃいますが、演じていて自らと重なる部分はありましたか? 吹き替えの時は特に意識していたわけではありませんが、たしかに私も3人を育てていますね。でも、リバティのような感じではなくて、もっと厳しいです(笑)。日々の子育ては学びがたくさんあるので、私自身が鍛えられているように感じるところもあります。 ■自己肯定感がものすごく低い ――劇中ではスカイが、自分の体が小さいことに対するコンプレックスに向き合う展開がありましたが、安倍さんは自分のコンプレックスと向き合ったような経験は? 私は基本的に自己肯定感がものすごく低い人間なんです。だから何をするのにも「まだ足りない」「全然至っていない」と思いながら挑んできました。それはグループの時から変わりません。自己評価は低いけど、周りにいる方やファンの方々に喜んでもらうことで、「これで良かったんだな」と思うんです。ネガティブになりすぎないよう、おまじないのように「大丈夫、大丈夫」と言うことが口ぐせになっていたりもします。 ――ネガティブな情報に触れてしまうこともあるかと思いますが、そういう時に心掛けていることはありますか? 普段の生活では、必要のない情報はあまり入れないですね。今は、自分よりも子ども優先の生活を送っています。子育ても答えが無いので、常に悩んではいます。声掛け一つにしても、どの選択をするかすごく考えますが、きっと皆さん同じですよね。私だけじゃなく、みんなそうやって考えながら、悩みながら進んでいるんじゃないかなと思います。 ■マイティパワーを授かるなら…? ――今作では隕石から得る「マイティパワー」と呼ばれる力が登場します。安倍さんがマイティパワーを授かるなら、どんな力が欲しいですか? 最強な体力と穏やかな心。朝から笑顔、疲れ知らず。何が起こってもイライラしない、穏やか。…最強ですよね(笑)。 ――例えば、グループで活動されていた頃に自分の強みとしていたことなどは? 私、後輩に対して先輩として何かを言うようなタイプじゃなかったんです。相談を受けたら「もういいわ」と言うほど答えるんですけど(笑)。そういう役割は他のメンバーがしてくれていたりするし、私ではないと思っていたんです。だから、リーダーとかに任命されるようなこともなかったんですけど、グループを守っていかなきゃいけないし、引っ張っていかなきゃいけないということは言われていましたし、意識はしていました。 ――グループ全体を客観視して自分の役割を考えていたんですね。 自己肯定感が低いこともあって、人に言う前にそもそも自分ができているのか、みたいなところがあるから、あまり言えないんです(笑)。 ――個人で活動するようになって以降は、考えに変化はありますか? 私は1人での活動はあまり向いていないのかなと思う時はあります。パウ・パトロールのメンバーのように、仲間同士で活動する方が向いているように思います。 ■久しぶりのモー娘。コンサート「大丈夫か?という思いはある(笑)」 ――11月にはモーニング娘。'23のコンサートにも出演するそうですね。(取材はコンサート前に実施) そうなんです。メンバーとは全然会っていないのですごく久しぶりです。ずっとやってきたことではあるけれど、これだけ期間が空いて大きなステージに立つのは初めてなので、「3人産んだぞ自分、大丈夫か?」という思いはあります(笑)。どこまでできるのか、ということも楽しみながらやりたいなとは思っていますね。ストイックにやりすぎると反動が来そうなので(笑)。 ――今回、出演を決めたのにはどういった思いがあったのでしょうか? やっぱりグループの25周年というのは大きいです。こんなに続くなんて思っていなかったですし、奇跡的なことですよね。私はCDを手売りしていた時からいたメンバーなので、そのグループがこんなにも長く続いていることは、感慨深いです。 後輩に対しても、ファンの方に対しても感謝の思いがすごくあります。「ありがとう」と「これからもよろしくね」という気持ちで、今の自分にできることを、できる形でやってみようかなと思ったんです。 表現し、伝えるエンターテインメントの世界は、私の中ではこれ以上の仕事はないと思えるほど大好きな世界なんですよね。普段、生活をしていて自分自身もエンタメに触れて、そこから力をもらったり刺激も受けたりすることもありますし。今回の出演は自分にとってチャレンジではあるのですが、無理のない範囲で、やりたいと思えるお仕事を頂けることは本当にありがたいと思っています。 ◆取材・文=山田健史