<一貫の春>センバツ・広島新庄 支える人たち/4 甲子園体験伝える 硬式野球部副部長・西島晴人さん(23) /広島
2019年、甲子園を経験した元選手が広島新庄に戻ってきた。理科教諭で硬式野球部副部長の西島晴人さん(23)。2月に尾道市のしまなみ球場であった練習ではノッカーを務め、選手たちに構えから捕球体勢に入るまでを細かく指導した。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 「甲子園に出たことは自分の財産。その後の自信につながった」 広島新庄初の甲子園出場は、自らのバットでたぐり寄せた。13年秋の中国大会準決勝。高川学園(山口)との延長十回にサヨナラヒットを放ち、センバツ出場を確実にさせた。14年春、アルプススタンドに陣取った大応援団の声援を受け、打席に入った興奮を忘れない。二塁手として出場した東海大三(長野)との初戦では打点も挙げ、大舞台で浴びた喝采に酔いしれた。 甲子園で身につけた自信を、夢の実現に結びつけた。「高校野球の指導者になりたい」。15年に広島新庄を卒業後、愛媛大に進学。母校で教育実習し、再会した迫田守昭監督らに言われた。「卒業生で初めて甲子園に出たお前だからこそ、選手たちに伝えられることがある」。そんな言葉も自信になり、教諭として赴任した広島新庄で硬式野球部副部長に就いた。 自身が甲子園に出場してから、この春で6年を迎える。指導者として戻ったグラウンドではバットを握ってノックし、身ぶりを交えて守備や打撃の技術を伝える。守り勝つ野球を身上とし「チームの状況を見て自分がすべきことをする選手が多い」雰囲気は、6年前と変わらないという。そのうえで、選手たちには注文する。 「試合に出ても出なくても、それぞれが自分の力を最大限に発揮して『広島新庄で野球をしたい』と思ってくれる子どもを増やしてほしいんです」。甲子園で、その姿を見せてくれることを期待している。【手呂内朱梨】