やっぱり打てない?阪神は内外野の緊急コンバートを行うべきか
だが、その一方で皮肉にも内野の競争は激しい。一塁はマルテとナバーロ。二塁が上本、糸原、ショートが鳥谷、北條、木浪で、三塁は、4番に据えられ、3日のソフトバンク戦では先制本塁打を放った大山。昨季唯一の全試合出場を果たして今季新キャプテンに任命された糸原や、売り出し中の木浪を先発で使えないようではもったいない。 阪神の某大物OBが言う。 「上本をセンターへコンバートすべし」 この内外野のアンバランスを解消するのは緊急コンバートしかないのだ。 阪神OBで評論家の池田親興さんも内野手の外野兼用コンバートの推進派だ。 「新外国人だけはオープン戦から本番に入ってガラっと変わることがあるので今の段階で判断する必要はないが、心配した通りに点が取れないし、開幕でセンターを誰が守るかも見えてこない。対して内野は、新人の木浪が粘り強くいいバッティングをしているし、昨年143試合に出て計算の立つ糸原、一発の魅力もある上本、安定感が生まれ始めた北條など人材が余っている。それならばバッティングを優先に考え、使いたくても使えない内野手に外野もやらすべきだろう。糸原、上本、木浪の3人は両方できるように準備をしておくべきじゃないか。本来ならばポジションは固定すべきだが、突出している選手が出てこないのだから、相手との相性や調子を見ながら、内野、外野をシャッフルして打線を組んでいくべきだろう。福留、糸井にしろ、どこかで休みながら使わねばならないのだからなおさらだ。そもそもキャンプで、なぜ、その準備をやってこなかったのかが問題なのだが」 上本は、金本前監督時代に「ファームで外野を試しておいてくれ」との指令があって、ファームで外野手としての試合出場の経験があり、糸原も外野でノックを受けたことがあるが、今キャンプでは2人共に一度も外野練習に入っていない。ルーキーの木浪も、まだ遊撃、二塁、一塁と内野専門で外野のノックは受けていない。 糸原、木浪は、足がないため、守備範囲の広さが求められるセンターでどこまでやれるのか、その守備適性に「?」はつく。やれるとすれば上本だが、彼にもスローイングへの不安は残る。 今キャンプでは、ショートの植田海にセンターをやらせていたが、上本、糸原、木浪の外野兼用に踏み切れなかったのは、このあたりの適性問題もあったのかもしれない。だが、もう背に腹は代えられない状況に追い込まれている。あらゆるオプションを想定して、彼らの外野テストをたっぷり試合の残っているオープン戦で行っておくべきだろう。 昨季、日ハムの栗山監督は準備をしていなかった清宮をいきなり公式戦でレフトに起用したが、それは褒められた起用法ではない。選手の能力を信頼しすぎていた。 1985年に阪神を日本一にチームを導いた吉田義男元監督は、「年に一度あるかないかのプレーであってもキャンプでは練習しておくべき」の考え方で、キャンプメニューを組んでいた。今からでも遅くはない。転ばぬ先の杖が阪神には必要である。