バイデン政権、任期中の半導体補助金完了が目標…サムスンとSKとの交渉速度戦
バイデン政権がCHIPS法に基づく補助金支給を任期内に終えるため拍車をかけている。補助金支給に否定的なトランプ次期大統が就任する来年1月20日までにこれを終えるための速度戦だ。米政府が半導体投資を条件に補助金を与えることにし細部事項を調整中のサムスン電子やSKハイニックスなどに対する補助金支給も近く確定するだろうという見通しが出ている。 レモンド米商務省長官は20日、ポリティコとのインタビューで「われわれが離任する時までほとんどすべての補助金を支給することを願っており、それがわれわれの目標」と話した。レモンド長官は次期政権に交代する来年1月20日を「明確なデッドライン」としながらも、第2次トランプ政権が半導体企業に支給することにした補助金を撤回する可能性に対しては「大きく心配していない」と話した。 レモンド長官は「CHIPS法は国家安全保障プログラムであり超党派的に大きな支持を得ている」と明らかにした。CHIPS法が米国半導体産業の競争力を強化し供給網安定を確保するという趣旨によって2022年に超党派的に通過した法案であるだけに政権交代に大きな影響を受けないという話だ。 米商務省は2022年8月に制定したCHIPS法により米国に半導体製造施設を新設・拡張する場合、総額390億ドル(約6兆円)の補助金を支給することにし、大部分は自国と海外半導体企業の投資規模に合わせて補助金を配分した。ただこのうち約300億ドルは細部交渉が完了しておらず実際の資金は執行されていない状態だ。 商務省は15日、TSMCに最大66億ドルの補助金支援を確定した。これは商務省がアリゾナ州フェニックスに650億ドル以上を投じて先端工場3カ所を作るというTSMCの投資計画に基づいて半導体補助金を支給する予備取引覚書を4月に発表してから7カ月ぶりに取られた措置だ。 韓国企業の場合、テキサス州テイラーに建設中の半導体工場に2030年まで400億ドル以上を投資するサムスン電子に64億ドル、インディアナ州に38億7000万ドルを投じて先端パッケージング生産基地を建設することにしたSKハイニックスに4億5000万ドルをそれぞれ支援するという予備取引覚書が発表されている。近くTSMCに続き韓国の半導体企業に対する補助金支給も確定するだろうという見通しが出ている。 トランプ次期大統領は大統領選挙期間中に半導体補助金支援プログラムを強く批判していた。トランプ氏は先月末にCHIPS法をめぐり「とても良くない法。10セントも払わずに関税でそのようにできた」と話した。補助金なく高率関税を課して無料で海外半導体企業の米国投資を誘致できたという主張だ。 トランプ氏は「私は『みなさんは米国に工場を作りさえすれば関税を出さないでも構わない』と話すだろう」とした。トランプ氏は19日、次期商務長官に「関税戦士」と呼ばれるハワード・ラトニック政権移行チーム共同委員長を指名し強力な貿易・関税戦争を予告した。 トランプ政権発足が近付き半導体業界はバイデン政権に補助金支給を急いでほしいと促してきた。最近オハイオ州、ニューメキシコ州、オレゴン州、ニューヨーク州など半導体支援金関連事業が進んでいる州の企業団体は補助金の適期支給を要求する書簡を米政府に送った。 商務省はトランプ氏の就任まで残る2カ月のうちに補助金支給を終えることを目標にしている。レモンド長官は最近職員に週末にも働くよう指示し、該当企業に直接電話をかけるなど補助金交渉の速度を高めるため努めているとポリティコに話した。